ご家族が亡くなると、ご遺族は慌ただしく忙しいものですが、葬儀を終え、一段落した遺族が次に直面するのが故人の「お金」の問題です。終活では葬儀やお墓の準備だけでなく、財産の引き継ぎがとても重要です。
何の準備もしていないと遺族同士のもめ事に発展してしまったり、相続などの手続きに時間がかかってしまったりします。今回は、そんなリスクを避けるための「お金の終活」をご紹介します。
自分に万が一のことがあったときに家族が知りたいことは何でしょうか。それは「どこに」「どんな」財産があるか、ということです。昔は親子が同居しているのが当たり前でしたから、親の財産の在りかを子も何となく分かっていました。ですが、親子がバラバラで、離れて暮らす現代では難しいことです。親の死後、家族は多くの手間や時間を費やして財産の調査をします。そんな家族の苦労を軽くする為に、事前に「お金の終活」をしておくことが有効なのです。
具体的には、まず自分の保有する金融資産や不動産などをリストアップしてみることから始めます。そうしておいて、その後は、家族のうちの誰にどの資産を渡すのかを考える、という手順になります。
金融資産では預貯金のほか株式や債券、投資信託といった有価証券、生命保険や損害保険、ゴルフ会員権など。クレジットカードやローンなど負債に関する情報も「負の財産」として、また、第三者の借金の保証人になっているならそれも書き出しておきましょう。
自宅をはじめとした不動産は当然ですが、高価な貴金属や美術品も資産としてリストに入れておいてください。
この一覧表を作るメリットは、主には2つあります。1つは「家族の負担を減らす為」です。
いざ、ご本人が亡くなって相続が開始すると、相続人が誰なのか、どこにどんな財産があるのかの調査を家族が、あるいは専門家に依頼して行うことになります。
財産の一覧表を予め作成しておけば、そのような、手間のかかる財産調査がスムーズに進むという訳です。
2つ目は、元気なうちに財産の一覧を作成しておくことで、財産がブラックボックス化せずに、「預金の使い込みで揉める」「生前の贈与等の有無などで揉める」などを防ぐ効果が期待できます。
金融関係の財産の特定に必要な情報は、例えば銀行口座の「金融機関名」や「支店名」、どんな商品かといった基本的な情報です。預貯金であれば、口座番号と普通や定期といった預金の種類、株式では銘柄名などが書かれていれば充分です。細かい残高などは、その後変動するので書かなくてもいいでしょう。記入項目が多く途中で投げ出したくなるかもしれませんが、頑張って少しずつ書き進めていきたい所です。
一覧表を書き進めているうちに、「結局、誰にどの財産を残すか決められない」「財産の管理方法は、本当にこのままでいいのだろうか?」「元気なうちに出来る限りの対策がしたい」と少しでもお悩みでしたら、是非専門家にご相談ください。例えば、「相続」の場面だけではなく、「生前」の財産管理を家族に託せる家族信託があります。厚生労働省のまとめによると、2019年日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳となっており、「まだ元気なうちにできる対策」はどのご家庭でも必須になりつつあります。もしも交通事故や病気で、意思を表示できなくなったら?感染症を発症して面会が困難になったら?何が起こるか分からない昨今ですから、そんなリスクを総合的にケアできる家族信託を、今のうちに検討してみることも大変有効です。
使わない口座やカード
終活のために自分の資産を洗い出してみると、使っていない口座やカードが出てくるかもしれません。言わずもがなですが、使わない口座は早めに解約をしておきましょう。本人以外だと解約にも手間がかかるので、元気なうちに済ませておくことをおすすめします。
スマホやPCのパスワードなど
以前にも紹介したような、故人のスマホやPCのパスワードが分からなくなってしまう「デジタル遺品」が残らないように、使用中の情報は整理しておきましょう。
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作成したリストは随時更新をして行き、保管場所は家族らに伝えておくといいでしょう。万が一の際に家族がその存在を知らなかったり、見ることができなかったりしたら意味がありません。親子で一緒にリストをつくっておくのもおすすめです。
以上をまとめると、
・財産の一覧表を作成しておけば、家族が困らない。
・相続での兄弟間などのもめ事を防ぐことができる。
・身近に潜む負の財産を見逃さない。
・元気なうちにできる対策を検討してみることが重要
是非この機会を利用して、ご家族で協力して財産のリストアップをされてみてはいかがでしょうか。
もし不明点や、相続だけでなく生前の対策もお考えであれば、司法書士リーガルパートナーまでお気軽にご相談ください!