世田谷区在住のご家族からのご相談です。
父(82)と母(76)、娘3人の5人家族です。
娘3人は全員結婚して、別々に暮らしています。
父は最近物忘れなどが出ており、今後の財産管理に不安を感じ始めていました。
母は元気で、健康上の不安などは特にありませんが、
父の物忘れが気になるのと、年齢的に父が先に相続になるであろうと考え、
父が他界した後は介護施設で暮らすつもりです。
資産は、自宅の土地建物と山口県の主要な駅近くの駐車場、預貯金約6000万円。
駐車場は、父の家系で代々相続しているもので、現在は地元の管理会社に
管理を任せています。
財産の名義人であるお父様は、あまり相続税対策や争族対策には関心がなく、
どちらかというと、今お父様がお持ちの資産で、
自分と妻が最後まで不自由なく暮らしていきたい。
その後の相続は、娘3人で話し合って自分たちで決めてもらえればいい。
このような考えでした。
相続税の課税も若干予想されるのですが、
「納税資金があるので、対策はしない」
と割り切っていらっしゃいます。
このケースでは、家族信託の契約を以下のような2本に分けました。
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信託契約① 財産は自宅と現金3000万円、受託者は三女、二次受託者は長女。
父の他界では信託契約が終了せず、二次受益者として母が受益権を取得する。
信託契約② 財産は山口の駐車場と現金2000万円、受託者は三女、二次受託者は長女
父の他界で信託契約が終了し、長女・次女・三女の3人に均等に資産が承継される。
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まず、お父様のご希望である「自分と妻の生活を最後まで不自由なく暮らしたい」
との点を意識し、信託契約①をご提案しました。
こちらは、「受益者連続型」と言って、最初は父が受益者ですが、
父が他界した時には、母が受益者となる契約にしてあります。
こうすることで、受託者は父が亡くなった後は母のために
信託された財産を管理していく義務を負います。
父が亡くなった後も、母の生活は安心です。
ちなみに、自宅が対象財産ですから
父が亡くなった際には同居の母による小規模宅地の特例
(相続時の課税金額が大幅に圧縮される特例)
が使え、若干の相続税対策も兼ねています。
両親の他界で信託契約が終了し、3人の娘さんたちが
資産を均等に取得します。
駐車場については、先に娘さんたちに相続してもらうことで
全体のバランスをとりつつ、お母様の管理が必要な財産が
無くなるように配分してあります。
上記の家族信託を実行することで、
☑ 生前から財産の管理を娘に任せ、父の負担の軽減ができる
☑ 駐車場の契約など、認知症になっても受託者が有効に行うことができる
☑ 父が亡くなった後も、母の生活を支えることができる
☑ 万が一父が認知症になっても、財産の管理は一切影響を受けない
以上のような効果が実現できました。
受益者連続型は、長い期間継続することが予想され、
その分だけ予測できない事態があり得ますが、
ご両親の生活を守るには非常に有効なやり方です。
是非ご検討ください!