2020.06.16

〈アパート建設計画!家族信託をしていると融資が受けられない?〉



家族信託で、相続税対策になるとすれば、それは

『本人の判断能力などに関わらず資産の組み換えなどの相続税対策を継続できる』という効果をあげることができます。

例えば、両親所有の土地に将来的にアパートを建設して、その後にかかる相続税を節税しようと計画するというものが代表的です。

その場合に、さらに相続税圧縮の成果をあげるものとして、借り入れを起こし「債務控除」を活用するという選択肢がありますが、そのためには銀行から融資を受けなければいけません。

もしかして、家族信託をしたら融資を受ける時に不利じゃないのか?

本日はそんな疑問にお答えします。

最初に、本記事のポイント3つまとめました。

信託設計


 家族信託においての融資は2種類ある。

 融資を受けられるかどうかは、金融機関と信託契約書の内容による。

 信託契約の時点で、融資・建築・返済までのプランをしっかりと練るべき。

 従来の制度(遺言・成年後見)では生前対策にはなりません。

生前対策というと「遺言」「成年後見」が思い当たるかもしれませんが、実はどちらも「生前」対策としては不十分な一面があります。


遺言はご本人が健在なうちには効力が生じませんし、成年後見は「ご本人の為」の制度ですので、「家族の為」に後見人がご本人の財産を処分したり、まして「運用」することなどできないからです。

それが「ご本人の意思」であったとしても、です。

遺言や後見制度と、家族信託との違いについて詳しくは、過去の記事をご参照ください。

関連記事:5分で読める家族信託入門

その中でも、特に重要なものの一つが、「家族信託の受託者」は「後見人」とは違い、本人の代理人ではないという点です。


代理人なら、融資の契約を本人の代わりに行えますが、受託者は本人の代理人ではありません。

受託者には、信託された財産の管理権限しかないのです。

また、本人の代理人ではないので、通常、「融資」という契約の代理人にはなれません。

ではどうするのか。
方法は2つあります。

信託内借り入れと、信託外借り入れです。

 信託内借り入れと信託外借り入れ

 信託内借り入れとは



信託内借り入れとは、信託契約書で「受託者は委託者の代わりに融資を受けてもいいよ」と書いておき、その契約書を基に、受託者が金融機関と融資契約を行う借り入れです。

受託者として借り入れた資金は、信託財産の一部となります。

信託財産となった借入金は、信託の目的に従って、受託者が管理・処分できます。

そして、その借り入れ金を使ってアパートを建てたとすると、そのアパートもまた信託財産となります。

その後、信託財産であるアパートの家賃収入から、借入金の返済をおこなっていきます。


ここまでの、①借り入れて、②建築し、③建物のその後管理・処分も、受託者の権限として進めることができます。

しかし、委託者兼受益者である親が亡くなった後が少々問題です。

残ったアパートをどうするのか、借り入れが残っているなら返済はその後どうしていくのか、決まっていなかったとしたら、残されたご家族同士で揉め事になりかねません。


ですので、家族信託契約の際に、その点も含めて家族信託の専門家に相談した方がいいでしょう。


なお、信託内借入の融資条件は金融機関の個別審査ですから、「委託者兼受益者も個人で連帯保証してください」等といった条件を細かく提示されることがありますので、お気を付けください。

 信託外借り入れとは

信託外とはその名の通り、信託とは関係のない借り入れです。要は、委託者である親名義で借り入れをすることです。

この場合、信託内借り入れとはちがい、借入金は信託財産にはなりません。

つまり、単純に、親が自分で借り入れて、親が自分でアパートを建築するのです。

もちろんアパートも親名義です。アパートが完成した後に、「追加で」アパートも信託することで、はじめてアパートが信託財産となります。

融資から建築、そして追加で信託するまで、親が元気なうちに(認知症にならないうちに)遂行しておく必要があります。

では、信託外借入のローンの返済はどうなるのでしょうか?


借り入れの名義も親ですから、返済手続きも、親(委託者)が行います。

しかし既に信託財産に組み入れたアパートの管理は子ども(受託者)です。

アパートの家賃収入も、一旦は信託財産になります。なので、親が勝手に家賃収入を返済にあてることはできません。


従って、家賃収入の一部を、借り入れ金の返済の資金として親に送金するように、信託契約の際に予定しておかなければならないのです。

では、信託外借り入れの場合の、親が亡くなった後はどうでしょうか。

信託内借り入れの場合は、親が亡くなった後の建物や借入金の処理の方法を考えなくてはいけませんでしたね。

一方、信託外借り入れの場合は、親の財産(借入金を含む)を子が相続した時と同じように考えればいいのです。

 金融機関が対応しているか


しかし、まだまだ家族信託・民事信託における融資や、口座の開設に対応できる金融機関は非常に少ないのが現状です。

なので、先の例のごとくアパート建築を試みても、そもそも金融機関が融資をしてくれないことがあります。

また、できたとしても条件が合わない(金利や融資期間、連帯保証など)、といったことが起こります。

これでは、当初考えていた通りの財産管理が行えず、困ってしまいますよね。

ところで、これは金融機関が悪いのではありません。

家族信託の歴史が浅いため、家族信託が浸透しておらず、専門家が少ないことから起こってしまうのです。

なので、相続対策としての家族信託をご検討中でしたら、まずは家族信託の実務経験豊富な専門家に相談した方が安全です。

信託口口座については、下の記事でご紹介していますので、よければご一読ください。

関連記事:信託口口座を開設する前に知っておきたい、「信託専用口座」とのちがい

 信託契約書の内容はどのようにすればいいのか?

銀行が家族信託に対応していれさえすれば、融資が必要になった際、すんなりと融資を受けられるというわけにもいきません。

注意していただきたいのは信託契約書です。

信託契約書に、以下のような内容を盛り込んでおいてください。

信託契約書の内容


 信託不動産の維持・保全・修繕又は改良は、受託者の判断で行う。

 大規模な改良工事を行うときは、受益者と協議をしてから行う。

 受託者は必要に応じて、借入及び信託財産に対する担保設定を行うことができる。

こうしておけば、スムーズに建物の修繕・解体、または処分を行い、そのための融資を銀行から受けることができます(実際の契約書の記載はもう少し具体的に、細かくなりますのでご注意ください。)。

銀行が確認したいのは、「受託者がどの範囲までの行為を許されているのか」「委託者の意思できちんと契約がされているかどうか」です。なので、この点の記載はとても重要です。

なお、信託内借入の、いわゆる「ローン」の債務者は受託者になります。なので、融資を受ける際は、「信託財産のために行う」のだと示して契約を行ってください。でないと、受託者の固有の債務となってしまいかねません。

 まとめ

以上、ポイントを再度まとめます。

信託設計


 委託者:Aさん

 受託者:Bさん

 受益者:①Aさん、②Cさん

 信託期間:Aさん・Cさんの死亡するまで

 残余財産の帰属先:Bさん又はBさんの家族



・家族信託においての融資は2種類ある。
・融資を受けられるかどうかは、金融機関と、信託契約書の内容による。
・信託契約の時点で、融資・建築・返済までのプランをしっかりと練るべき。

これから家族信託を使って、相続対策をお考えの方は、まずは家族信託の専門家に相談した上で、どのようなメリット・デメリットがあるのか良く検討した上で決定してみてください。

司法書士リーガル・パートナーなら、家族信託の実務経験も豊富で、家族信託に対応している大手の金融機関との取引も数多くあり、必ずお力になれます。

是非一度無料相談にお越しください。


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