2021.03.01

5分で読める家族信託入門

こんにちは、リーガル・コンサルティング&パートナーです。家族信託に限らずですが、専門的な情報を自分で調べるのは大変ですよね。 時間もかかりますし、労力もかなりの負担だと思います。

家族信託』が認知症等による財産凍結リスクへの対策に有効だったり、相続で揉めてしまう事への対策として利用できることはなんとなく聞いたことがあっても、「一度わかりやすく解説して欲しい」というご要望が、お客様の中にもかなりあります。

そこで今回は、「5分で読める家族信託の入門編」を公開いたします。

 まず家族信託とは

家族信託とは、一言で言えば、自分の財産を家族で管理できるようになる仕組みのことです。

ご両親が70歳、80歳と高齢になっていくにつれて、どんなご家庭でも対策が必須になってきています。

高齢になればなるほど、あまり考えたくはないことですが、ご両親の介護施設入居が必要になったり、判断能力が低下したりする可能性は高くなります。

例えば、認知症や事故などで自分の意思を示せなくなることもあります。

それだけでも、本人にとってもご家族にとっても、辛い状況だと思います。

そこで、『自分の財産の管理を、家族の誰かに託す』家族信託をあらかじめ設計しておくことで、次のようなメリットがあるのです。

 本人の体調・判断能力に左右されない財産の管理・処分が実現できる

例えば認知症等により、本人の判断能力が低下してしまうと、お金を預けている銀行が預金の引き出しに応じてくれなくなってしまいます。そのような状態を「口座の凍結」と呼びます。


また、判断能力の低下した方が不動産を売ろうと思っても、法律上有効に売買することができません。そうすると、空き家になる予定の自宅等の売却ができず、介護費用などの捻出ができなかったりと困ってしまうケースがあります。

そんな時でも、家族信託契約をしておけば、本人の財産を預かった家族が代わりに預金を引き出したり、不動産を売却したりできるので、本人の体調・判断能力に左右されない財産の管理・処分が実現でき安心です。

※その他にもメリットや使いみちがありますが、またの機会にお話します。

  成年後見制度に比べ、柔軟な財産管理が実行できる

判断能力が低下してしまう前に家族信託をしておけば、成年後見制度のデメリットを受けることがありません。成年後見制度のデメリットに関しては、後ほど詳しくご説明いたします。

 管理による負担から解放される

「財産はもう息子に任せてる」と仰る方もいらっしゃいますが、それは法律上は任せていることになっておらず、金融機関や契約の相手方など外部との手続きが発生すると、進めていけないということも多いのです。

例えばマンションの管理の為に業者と契約を結ぼうとしたり、修繕・建て替えの為に金融機関と契約を結ぼうとしても、判断能力が低下していて、法律上有効に契約することができないなどの支障が出てきますが、家族信託でこれも防げます。

 もう一つの制度「成年後見制度」とは

判断能力の低下などで「預金の引き出しができない!」「不動産の賃貸・売買ができない!」という問題が起きてしまった場合の制度として、もう一つ「成年後見制度」が挙げられます。

成年後見制度とは、家庭裁判所が「成年後見人」を選任し、意思を示せなくなった人を保護する制度です。

この成年後見人には、多くの場合専門職と呼ばれる弁護士や司法書士、社会福祉士が選任されます。

成年後見人が居れば、必要な資金を銀行から引き出したり、場合によっては不動産を売却したりすことができます。本人が亡くなるまで見守っていてくれるので、ご家族にとっては安心できます。

 成年後見制度のデメリット

しかし、そんな成年後見制度には次のような使いづらい一面があります。

・後見人への高額な報酬

・財産の使い道が自由にならない

・途中ではやめられない

後見人への報酬は、月に2~6万程度かかります。また、「本人の保護」が目的なので自宅の売却や賃貸も無条件にはできません。

そうとは知らずに成年後見を開始して、途中で「それなら止めたい」と思っても、制度上、よほど特別な場合でなければ途中で成年後見を止めることはできません。

そのようなデメリットを受けずに、もっと家族で手軽に柔軟にできる財産管理の方法ってないの? 』という期待に応えるために、近年家族信託が貢献しているのです。

 家族信託と遺言書

高齢になってくると高まるリスクのもう一つが「本人が亡くなる」ことです。

この場合は、自宅も預貯金も一旦「相続財産」となり、残されたご家族(相続人)の間で「だれが何を」引き継ぐのか話し合いがまとまらない限り、先ほどの例のように財産を動かせなくなります。そうならないために遺言を残そうと検討している方も多いと思います。

関連記事認知症の人でも家族信託を利用できる?判断能力の基準とは

ところが、生前対策を考える場合には、遺言書だけでは不十分といわざるを得ない場合も多く見られます。

遺言書には以下のような問題点があるのをご存知でしょうか。

 遺言書の問題点

・生前の対策にはならない

・いつでも書き換えられる

・作成自体が困難

遺言書は、本人が亡くなった時にのみ効果が出ます。ですので当然のことながら生前の対策にはなり得ない為、「遺言書を書いたから対策は万全だ!」というわけにはいきません。

それから、せっかく家族で話し合って財産の配分案を決めても、本人が遺言書を書いたことを忘れてしまって、ひそかに新しく遺言書を作成すると、内容が抵触する部分は新しい遺言書が優先されるため、いつでも変更できてしまいます。

また、遺言書は、自分で自署しなければいけない部分があり、高齢者にとっては大きな負担となる場合もあります

そして、当然ですが自分の次の代までしか財産の承継先を指定できません。

一方、家族信託なら、『遺言代用型信託』といって遺言のような使い方もできて、認知症等に対する生前の財産管理対策にもなり、一石二鳥の面があります。つまり家族信託を活用すれば

・自分が元気なうちに財産を家族に任せておける(認知症対策になる)

・任された家族が、本人のために柔軟に財産を管理することができる

・次世代以降の財産の承継先も指定できるので、例えば「実家は長男に継がせたいが、長男には子供がいないので、長男亡き後は次男、そのあとは次男の子である孫に継いでもらいたい。」など、先祖伝来の財産を自由に承継させたいというニーズにも応えることができる。

などのメリットがあります。

その他にも、不動産の共有問題回避や、共有不動産の塩漬け予防ができたり、親亡きあとの障害がある子供の財産管理のために家族信託を使ったり、経営者が後継者に会社経営を引き継ぐために使ったりと、使い方は色々です。

使い方が様々であるからこそ、一番自分に合った家族信託の運用方法ができれば、家族信託のメリットも最大化します。

 まとめ

まとめると、成年後見制度や遺言書制度などの既存の枠組みでは「叶わなかった」部分が、家族信託によって実現できるようになるのです。

まだ歴史の浅い家族信託ですが、テレビや雑誌でも取り上げられたりと、これからますます需要が高くなっていくものと思われます。

いくつになっても、安心して暮らしていけるように、今から少しずつ考えてみてはいかがでしょうか。

それでは、今回はここまでです!

最後までご覧いただきありがとうございました。

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