2020.04.04

家族信託の失敗を防ぐたった3つのポイント


家族信託の契約書って、ひな型を見て自分で作ればいいのでは?

家族信託で失敗することってあるの?失敗するとどうなるの?

そんなお声を頂くことがあります。

今回は「家族信託ってどんな失敗事例があるの?」そんな疑問にお答えします。

結論から言えば、下記の3点に気を付けていただければ、この記事でご紹介するような失敗を防ぐことができます。

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POINT!

・家族が他界してしまう順番


・信託が強制終了してしまうパターン


・託す財産の範囲と、任せる行為の内容

一度結べば長い間効力の続く家族信託契約、大事なご契約ですから、絶対に失敗はしたくないですよね。

ここでは、家族信託の失敗を具体的な事例を交えて分かりやすくご紹介します。

また、どのようにすれば失敗を防げるのか、家族信託に興味がある・ご検討中の方は是非最後まで読んでみてください。

受託者と受益者が同一人の状態が1年継続してしまう

信託法には「受託者が受益権の全てを持っている状態が1年間継続したとき」に信託が終了してしまうという「1年ルール」があります。


最初から受託者と受益者が同じ人になってしまうことは通常はありません。贈与税が課税されてしまうからです。


しかし、受益者の後任が最初の受託者であれば、受益権が承継された時点で受益者=受託者になってしまい、その状態が1年継続すれば信託が終了してしまいます(信託法163条2項)。

例:こんな想いをもった方がいるとします

賃貸マンションを持っていて、現在管理は長男がしています。長男は既婚ですが子どもはいません。私のマンションは自分の家系で守っていきたいので、長男の次には次男の子供(孫)に継がせたいです

信託契約の失敗例

そこで、以下のように信託契約をしました。

しかしこの信託は失敗するかもしれません。

どこがいけないのでしょうか?

委託者兼当初受益者:父
受託者兼第二受益者:長男
第三受益者:孫

上の図を見てもわかるとおり、第三受益者は孫ですから、将来的には自分の家系で財産を守っていけるように見えます。

信託契約の問題点

しかしこの信託契約では、

⓵ご本人が亡くなった時に受託者=受益者になる。
⓶ご本人が亡くなった後、1年以上長男が存命すると1年ルールにより信託契約が終了
⓷長男が亡くなれば長男の妻が相続する。

ので、「家族信託で長男の妻の家系ではなく自分の家系に信託財産を守っていきたい」という想いは実現しません。

解決策

この場合、解決策は次のようなものがあります。

⓵受益権を分けて(1/2など)次男も第二受益者にする。
⓶第二受託者を孫にする。
ご本人が亡くなったら、委託者を長男、第二受益者も長男に、
そして第二受託者を孫に設定します。

受託者が先に亡くなってしてしまう

信託法には「受託者がいなくなって1年間新しい受託者が現れなかったとき」に信託が終了してしまうという、もう一つの1年ルールがあります(信託法163条3項)。

受託者の方が亡くなると、新しい受託者を①委託者と受益者で決めるか、②委託者がいない場合受益者のみで選ぶことができます。

ですが、ご家族が新受託者専任の必要性を知らなかったり、忘れていれば、1年ルールで信託は終了してしまいます。

例:こんな想いをもった方がいるとします。

マンションを持っていて、認知症になったときの対策として誰かに管理を託したいが、子どもでは無理なので弟に任せたいです。子どもは独身を貫くつもりらしいので、子どもの次は甥の子供に財産を継がせたいです。

信託契約の失敗例

そこで、以下のように信託契約をしました。

今度は一体、どこがだめなのでしょうか?

委託者兼当初受益者:ご本人
受託者:弟
第二受益者:子ども
第三受益者:弟の孫

これなら、ご本人が亡くなって子どもが受益者になっても、弟さんが受託者なので、受益者=受託者となることはありません。先ほどの失敗は防げていますね。

信託契約の問題点

しかし、ご本人の子どもより先に弟(受託者)が亡くなると以下のようになります。

①まず、ご本人が亡くなり、ご本人の子どもへ受益権が承継される。
②ご本人の子どもより先に、弟(受託者)が亡くなってしまう。
③受託者がいなくなってしまうので、ご本人の子どもが受託者を探さないといけない。


もしも第二受益者(子ども)が新しい受託者を探さずに1年間経過すれば信託が終了してしまいます。


解決策

受託者が信託契約中に亡くなってしまった場合の後任、第二受託者を当初の信託契約の中で予め設定しておけば解決します。通常、将来のリスクに備えて設定することが多いと思います。

信託契約に、信託財産の処分の記載がない



家族信託は信託契約の目的に沿って行われます。

受託者が信託財産を自由にすることが出来るわけではありません。例えば、次のようなことが起こります。 

例:こんな想いをもった方がいるとします

「もしも私が認知症になったときは、自宅を売却して介護施設に入居する資金にしたい」

そこで、以下のような信託契約を結びました。さあ、今度はどこがダメなのか、分かりますか?

信託契約の失敗例

委託者兼受益者:ご本人
受託者:子ども
信託財産:自宅・預金の一部
契約内容:受託者は信託財産を管理運用する

これでは契約内容で許されているのが「管理運用」なので、「処分」はできません。

施設入所のために自宅を売却する行為は「処分」なので、できないのです。(大規模な修繕や賃貸などは「管理運用」なのでできます)

逆に守りたい財産なのに「管理運用処分」と記載してしまうと…

これは先ほどのパターンの逆です。
これでは、本来「処分」したくない不動産を処分できてしまいます。

代々継いできた土地を、これからも管理運用していってもらいたいという想いで信託契約を結んでも、契約内容に「財産の管理運用処分」と記載してしまえば、受託者はその土地の売却ができてしまいます。

もし受託者が「今売っておかないと損だ!」などと友だちの不動産屋に煽られて、その気になってしまえばそれまでです。

先ほどと同様、信託契約書を作成する時は信託財産の行方をしっかりと確認してください。

借金の差し押さえを回避しようとしての活用

ここは少し分かりづらいのですが、お付き合いください。

例えば自宅を信託財産とすると、自宅の名義は委託者から受託者に移ります。

しかし、受託者の財産になるわけではありません。信託財産は、受託者の財産というわけではありません。


なので、もしも受託者が破産してしまっても債権者は信託財産を差し押さえられません。

一方で、受託者が破産手続きを開始した時に信託は終了します。信託財産の行方は自分たちで決められるのですから、まんまと差押えを逃れた形になりますね。

この仕組みを利用して

自分の財産を全部信託財産にして、差し押さえを回避しよう!

と信託契約を結ぼうとするのは、実はあまり意味がありません。

信託財産ではなく、債権者に「受益権」を差し押さえられてしまうからです。
(参考:https://www.mc-law.jp/kigyohomu/26559/

また「債権者を害することを知ってした行為(詐害行為)」として信託自体を取り消されてしまうこともあるので、差押え逃れの信託は、おやめ頂くのが良いと思います。

財産全て信託財産にしてしまい何もできなくなった

家族信託では、1代のみの財産承継ではなく、その先の承継先を決めることができます。

ですが、自分の財産全てを信託財産としてしまうと困ったことになるかもしれません。

先ほども触れましたが、信託財産は受託者の財産ではありません。

しかし、基本的には財産を受託者が管理するので、受益者が財産を好きな時に、好きなだけ使いたいと思っている場合には、不便を感じてしまいます。

ですので、そのような場合はすべての財産を信託財産にするのではなく、自分の自由に使いたい分は確保して(残念ながら、その分は資産凍結リスクを回避できません)、残りを信託するというような管理が都合がいいのではないでしょうか。

30年ルールを知らなかった

信託法では「信託契約締結から30年経過した時の受益者か、その次の受益者が死亡すると終了する」とされています(信託法第91条)。

つまり、

①信託契約から30年経過。
②その後受益者が亡くなる。
③次の受益者に受益権が承継される。

上の②の時に、次の受益者が設定されていなければ②の時点で信託は終了。あるいは、③の受益者が最後の受益者となります。
信託契約で財産の承継先を玄孫の先の先の代まで一応は指定できますが、意味はありません。

まとめ

認知症対策や事業承継対策にとても有効な家族信託ですが、契約の仕方を間違うと以上のような失敗に繋がります。

信託契約書は自分で作成できなくもないのですが、やはり専門家に一度ご相談されるのをお勧めします。

とはいえ、家族信託に精通している専門家が少ないのも現状です。

相続や生前対策の専門家がいない金融機関等に相談したり、専門家でも家族信託の経験の少ない人に任せてしまうと、受託者に多くの負担を課してしまったり、意味のない契約書を作成してしまったり、もっと言えば家族信託が必要ない場合に無理に家族信託で解決しようとしてしまったりして、「お金をかけた割にメリットがあまりなかった」という悲惨な結果が待っています。

過去にリーガル・パートナーに相談に来られたお客様の中にも、我々から見て「なぜ、こんな契約をさせられているんだ?」「どうして、こんな遺言をかかされているんだ?」と思うお客様が残念ながら一定数いらっしゃいます。

司法書士リーガル・パートナーは家族信託、その他の生前対策の専門家が揃っており、相談実績も日本でトップクラスを誇る専門家集団です。また、不動産の専門家でもあるので、所有財産に不動産の多い方の相続関係のご相談にも真摯に適格にお応えいたします。

メールやお電話、無料面談予約も受け付けておりますので、是非ご利用ください。皆さまからのお問い合わせを、心よりお待ち申し上げております。



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