2020.03.25

〈どうして遺言書だけじゃダメなの?家族信託と何が違うのか〉


高齢者の方が、相続の準備をしたいという時に、遺言書の作成は基本となります。

遺産の額に関わらず、遺されるご家族のために「想い」を法的に間違いのない形で遺す意義は大変大きなものです。
最近では民法改正により、遺言書作成のハードルも下がり、作成件数の増加も期待されています。

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ところが、遺言書だけではどうしても実現できないことがあります。

「2世代先までの資産の承継先を決めたい」

「妻が認知症になった時の備えをしたい」

こうした想いを実現するためには、遺言書だけでは限界があります。

そんな遺言書の弱点を、「家族信託」なら補うことができます。

こちらの記事で詳しく解説していきましょう。

遺言書を遺した方がいい例

まず初めに、そもそもどうして遺言書を作成するのでしょうか。

「好きなように分配して」と遺された家族に遺産の分配(分割)を任せてしまった、あるいは 何も「想い」を遺さずに亡くなってしまうと、様々な不都合が生じる可能性があります。

例えば、以下のようなことが考えられます。

 

相続人が認知症になってしまうリスク

お子さん達も、いつまでも若くはありません。当然年を重ね、ご本人が亡くなる頃には高齢になっています。そこで懸念されるのが、「相続人が認知症になっている」という事態です。

ご本人が亡くなったとき、相続人が認知症になっていると「遺産分割協議(話し合いで遺産の分配する方法を決めること)」ができなくなってしまいます。

認知症になった方には意思能力がないので、自らの意思で遺産分割協議に参加したとは認められないからです。

こうなると手続きは停滞してしまいます。

そうならないために、遺言書を作成しておくのです。

遺言書は、ご本人が相続人に対してする「遺産分割の方法の指定」ですから、遺産分割協議を必要としません。もしも相続人の一人が認知症になってしまっても効力が発生します。

配偶者に全ての財産をわたしたい

 

例えば、ご本人と配偶者の間に子がなく、父母・祖父母も他界しており、ご本人の兄弟が存命しているものとします。

この場合、ご本人が遺言書を遺していないと、配偶者に4分の3、兄弟に4分の1の相続分が発生します。全ての財産を配偶者に残したいなら、遺言書を書いておくべきです。

内縁の配偶者がいる

どれだけ長い間連れ添ったとしても、婚姻届けを提出していない「内縁の配偶者」には相続権がありません。

内縁の配偶者に財産をわたしたいのであれば、遺言書に明確に記載をしておくか、生前に贈与しておく必要があります(後に触れる遺留分減殺請求のリスクがありますので、専門家と相談した上で慎重に作成してください)

遺言書のデメリット・リスク

遺言書の内容を無視することもできる

遺言書は、遺産の分配する方法を指定する、法的にとても強力なものです。

しかし、相続人の全員が合意すれば、遺言の内容を無視することも可能です。

たとえば、遺言の内容に納得のいかない相続人が、遺言書を無視して遺産分割協議をするように強硬に要求してくることもありえます。

非常に立場が強い兄と、それに従順な弟さんをイメージしてください。仮に、弟さんが非常に多くの資産を相続するような遺言となっていた場合、お兄さんはどのような行動に出るでしょうか?弱い立場の弟さんを半ば脅すような形で、自分に有利な遺産分割協議に変更してしまうかもしれませんよね(弟さんが、同意しなければ遺言通りになるのですが…)。

このように、実は遺言書が残っていたとしても、遺言通りに遺産の分配が推し進められるとは限らないのです。 

いつでも撤回できてしまう

遺言は法律上、いつでも撤回できてしまいます。

遺言を書いても、それとは全く異なる内容のものを次の日に書いてしまえば、古い方の遺言の効力は無くなってしまいます。

相続人の一人が、「お父さん、私たちに多く分配してよ」と、他の兄弟に秘密で遺言書の書き直しを迫ったとして、絶対に書き直さないとは言い切れませんよね。

元気なうちの財産管理を任せることはできない

遺言書はご本人が「亡くなった後」の財産の承継先を指定するものなので、生前の財産管理の方法は決められません。

そのせいで、例えば、生前の財産管理を事実上お子さんに任せていて、生活費や医療費のために使われていたとしても、法的な財産管理者でないことから、他の兄弟からの不満がでたり、不公平感からもめ事に発展することもあります。

本当に財産の管理を任せたのか?財産を不当に使い込んでいるのではないか?と疑念が生じても仕方ありません。

2次相続以降の承継先は指定できない

遺言では、自分の財産を誰にわたすのかを決められますが、その先までは決められません。

つまり、自分の遺産を、「まずは妻に相続させ、妻が亡くなった後は長男に相続させる」というようなことまでは決められません。

たとえば、再婚したケースで、「老後の生活のために後妻に財産は残したいが、後妻が亡くなったときには子供(先妻との子)に財産を相続させたい」としても、遺言では、自分の遺産を「妻に相続させる」ことまでしか決められません。

その『想い』家族信託なら実現できます

以上のような遺言書のデメリットを解決できるのが「家族信託」です。

一方的に撤回できないようにできる

遺言書の場合は「この遺言書は撤回することができない」と書いていても、意味がありません。遺言者が一方的に撤回できる、と法律で決まっているからです。

それに比べて、家族信託は「契約」なので、その内容を契約書に盛り込むことで、片方が一方的には撤回できないものにすることができます。

元気なうちの財産管理のルールが明確

家族信託は、ご本人が元気なうちに、ご本人の決めた人(受託者)が財産管理をします。

管理の方法も、ルールも本人の意思に基づいた明確なものなので、トラブルが生じにくいのです。

また、財産の管理の状況を他の兄弟へ報告する義務を課すなどして、将来に兄弟間でもめないように対策することができます。

 2世代先の承継先を決められる。

家族信託なら、2世代先の承継先を自分で決めておくことができます。

例えば、「自分が生きている間は受益者は自分、自分が死亡したときは受益者を長男に、長男が死亡したら孫に」と、財産をわたしたい人を決められるのです。

まとめ

以上のように、家族信託は、遺言書のデメリット・リスクを補完する優れた制度です。

しかしながら、ご家族の実現したい「想い」や、どのように財産を管理・活用・承継したいのかによって、どちらの制度を利用するのか、それとも両方の制度を併用して対応した方がいいのか、しっかりと将来を見据えて検討する必要があります。

考えるべきポイントはいくつもありますが、一人で悩まずに、まずは専門家へ相談をされてみてはいかがでしょうか。

リーガル・パートナーであれば、法務のプロプロフェッショナルである司法書士が、『家族信託』はもちろんのこと、その他のあらゆる法制度についての専門知識を活かして、家族信託ありきではない総合的・複合的な法制度を用いた対策の御提案ができます。

年間の家族信託・生前対策相談件数は100件以上で業界内でもトップクラス、さらに2013年の開業から遺言や成年後見、不動産の各種問題など多彩な相談に取り組んできた実績があり、家族信託以外の経験も豊富です。家族信託や遺言も、手段にすぎません。必要に応じて最適な解決策をご提案できるのが我々の強みです。

ぜひ、一度ご相談ください。


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