2020.05.07

父が脳梗塞で倒れた…家族信託で救われた家族の事例


今回は、ある相談者の方の体験をご紹介いたします。




この記事は、次のような方におすすめです。



オススメ!


 親が高齢になってきたけど、まだまだ元気だし介護や認知症対策は必要ない。

 兄弟とも、親の介護について話し合ったことがない。

 事前の対策なしでも、結局どうにかなると思っている。





我が家に認知症対策は必要ない、関係ないと思っていませんか?


そのまま放っておくと気付いた頃には取り返しのつかない事態になってしまいます。この記事を参考に、今のうちに考えて、話し合いを進めてみましょう。





※本記事は、他の様々な事例を織り交ぜて作成しております。個人の方の状況などをそのまま描写することはありません。予めご了承ください。



Aさんからのメール相談


ある日、相談者のAさんからメール相談を頂きました。



Aさん
Aさん

一人暮らしをしている74歳の父がおります。
まだ大きな病気もなく元気で、軽い物忘れがありますが、認知症との診断は出ていません。今後、父に介護か必要になったらどうするのか、話し合っていかなくてはならないと思っています。



日本は高齢化の一途を辿っており、このようなご相談を良く頂きます。

先日の記事でもご紹介したとおり、70歳を超えていて、物忘れが多くなったなどの異変が少しでもあればなるべくお早めに医療機関にご相談ください。(記事リンク)



ただ、現状では、介護の役割分担、方法や費用はどうするのかなど、兄妹間でまだ何も決まっていません。兄は九州在住で妻子がおり、私(Aさん)は実家の近くに住んでいるため、もしものときには私(Aさん)が中心になって話を進めると思います。

兄も私(Aさん)も夫婦共働きで暮らしており、父の介護をする余裕はないと思われます。そのため、おそらく施設への入所か、介護サービスを利用することになります。





老後をどう過ごすのか、ご本人の意向を元気なうちに聞いておくのは大切なことです。自宅に居たいのか、第三者に関わってほしいのか、しっかりと意思を確認しておきましょう。家族と同居するのが幸せとは限りません。








「今最も心配なのはお金のことです。兄には高校生の子どもがいて、私も中学生と高校生の子どもがいます。まだまだ学費などが必要で、介護費用を負担できない状況です。
そこで、いざというときには父に少し援助をしてもらいたいと考えています。預金は5000万円ほどあるそうです。

しかしこのことについて、兄とじっくり話し合っていません。いざ父から贈与を受けたりした後に、トラブルになるのではと不安です。
家族信託が認知症対策に有効だとテレビや雑誌で紹介されていたので、メールをしました。何か手だてはありますか。よろしくお願いします。」



Aさんとはその後、タブレットを使ってのオンライン面談などを行い、後日改めて解決策を送りました。



解決策

結論 介護が必要になったときにかかる金銭の使い道を明確にし、父が死亡した際にその残金をどうするかも決めておきましょう。




①まずは、金銭の使い道を洗い出す。

父と兄妹とで話し合った上で、自分(Aさん)を受託者、父を委託者兼受益者として信託契約を締結しておきましょう。



つまり、父の銀行預金を父の介護費用にあて。その預金は自分(Aさん)が管理するという契約(約束)を兄を交えてしておきます。

その際に「信託する金銭の使い道を明確にしておく」ことが重要です。



父に介護が必要になったときにかかるお金を、なるべく細かくシミュレーションしておきましょう。

おおまかには、介護費、医療費、生活費などがあります。介護費用やはその時の状況や人によって変わります。

下記に、目安の金額を挙げておきますので、参考にしてください。




信託する金額が、その介護費用を賄えるくらいに設定しましょう。

②信託口座を開設する。

次に、信託する金銭を管理するための口座(信託口口座)を開設します。

この信託口口座は、自分(受託者Aさん)の名義で開設することになるでしょう。

開設できたら、そこに信託する金銭を父から信託契約と同持に振り込んでもらいましょう。



これによって、あなた(Aさん)は父に介護費・医療費・生活費などが必要となった際、受託者(あなた)名義の。信託口口座からその費用を捻出することができるようになります。

③金銭の使い道はしっかりと記録しておく。

しかし、何の記録もなく、自分(Aさん)の判断だけで費用を管理するのは危険です。

他の家族に「信託財産を使い込んでいるんじゃないか」と疑われてしまうかもしれません。ですので、何に使ったかを明確にするために領収書を保管しておき、通帳を記帳して出金の記録をつけておくことをおすすめします。



④残金をどう分けるかもルール決めをする。

今回は、父が死亡したときに信託は終了となります。その際に、信託口口座に残ったお金があれば、法定相続人間で等しく分ける、といった具合になるでしょう。その、残金の行先も決めておきましょう。




父が死亡したときは、予め定めておいたルール通りに残金を格相続人の口座へ振り込みます。このとき、残金の総額と、誰がいくら取得したのかをきちんと記録して書面にし、各相続人に渡しておくことで後々のトラブルを防げます。



受託者には帳簿作成の義務もあります。

なので、信託期間中の介護費用・残金の処理はできる限り書面に残しておきましょう。そうすることで、ご家族の中でおかしな疑念を生むことなく、平和な家族信託の運用が望めます。

Aさんのその後

家族信託の手続きを終え、しばらく経ったある日、Aさんからまたメールが届きました。



家族信託の手続きから、数か月もしないうちに、父が突然脳梗塞で倒れました。

一命はとりとめましたが、1ヵ月の入院生活ののち、認知症が悪化し介護が必要になりました。



私(Aさん)も兄も、やはり父の介護に専念するのは厳しい状況でした。話し合った末、父は介護施設へ入所することになりました。

その際の施設費などの費用は年金ではまかない切れず、信託口口座から捻出することになりました。



施設に入って1年ほどで、父は亡くなりました。

最近、ようやく色々な手続きが片付きました。

資金面に関しては、信託をしておいたおかげで、大きな問題はありませんでした。

金銭の使い道もきちんと記録しておき、兄にも報告しておりましたので、兄も安心して私に管理を任せてくれていたように思います。



父の死後、残りの預貯金は、信託契約で決めておいた通りに兄と等分して分けました。トラブルなどは一切ありませんでした。

父の介護が必要になったときには、私も兄も学費や仕送りなどの出費が予想以上にかさみ、介護費用を負担する余裕もありませんでした。

もしかすると、事情によってはもっと厳しい状況だったかもしれません。



あの時、まだ大丈夫と甘く構えることなく、相談をして、信託をしておいて本当に良かったと思いました。

ありがとうございました。

  ―――――――――――Aより




サイト内検索

人気の事例

  • 財産管理を目的とした家族信託
    財産管理を目的とした家族信託
  • 死後事務を託したいので家族信託を使った事例
    死後事務を託したいので家族信託を使った事例
  • 兄弟で経営している自社の事業承継に家族信託を活用
    兄弟で経営している自社の事業承継に家族信託を活用

人気のコラム

  • 投票を捏造した福祉施設の元施設長に罰金刑~意思能力の確認~
    投票を捏造した福祉施設の元施設長に罰金刑~意思能力の確認~
  • 父が脳梗塞で倒れた…家族信託で救われた家族の事例
    父が脳梗塞で倒れた…家族信託で救われた家族の事例
  • 家族信託をしたら不動産の税金はどうなる?
    家族信託をしたら不動産の税金はどうなる?