2020.04.17

家族信託で株式も財産管理できる?信託財産にできる・できない


家族信託は、受託者に委託者が財産管理を託す契約ですが、

不動産や預貯金、株式といったもののうち、信託できない財産はあるのでしょうか?

本記事でご紹介いたします。
家族信託の仕組みについては、YouTubeで解説した動画が参考になると思います。

さて、本記事のポイントは4つです。

POINT!

・信託財産は受託者が管理・運用・処分する。

 

・受託者は報酬を受け取れるが利益を目的としない。


・金銭的価値に交換できる財産なら信託財産にできる。


・上場株式を信託する際は注意が必要。




信託財産ってなに?

まず、信託財産について簡単に説明します。

家族信託という制度を利用すると、委託者が受託者に、自分が所有している財産(例えば自宅)の管理・運用・処分を任せられます。

この、委託者から受託者へ信託された財産が「信託財産」です。



財産管理を他の人に任せる制度は他に「後見制度」があります。

後見制度は「後見人が」「本人のために」財産管理をします。

家族信託は「受託者が」「本人と家族のために」財産管理をするのが特徴です。

成年後見人と受託者

 後見人

成年後見人というと何をイメージしますか?

家族や親戚のうちの誰かが、通帳や書類と格闘しているようなイメージでしょうか。

しかし、それはもうひと昔前の「後見人の姿」です。



平成29年の厚労省の調査では、成年後見人のうち、「73.9%」は第三者、つまり、司法書士や弁護士、社会福祉士が就任しています。



一方、親族(配偶者,親,子,兄弟姉妹及びその他親族)が成年後見人等に 選任されたものが全体の約26.2%です。

営利目的で後見人になったわけではありませんが、専門職後見人には報酬を支払わなければいけません。交渉もできません。報酬額は既に決まっている額があるからです。



その額、年額で最低24万円です。財産額によってはこの2倍、3倍になります。

キャンセルもできません。ご本人が亡くなるまでこの関係性は続きます。

 受託者

これに対して、家族信託では

財産管理をする人(受託者)を、本人が自由に決定できます。



家庭裁判所も公証役場も口をはさみません。

最終的には、家族間の「話し合い」で決定します。



受託者になるのに特別な資格は不要です。未成年や被後見人(保佐・補助)でなければなれます。ただし、専門職はなれません(「信託業法」違反になる可能性があるからです)。

信託財産にすると節税できるの?

信託財産にしても、基本的には節税効果はありませんが、皆無ではありません。



例えば、信託契約で贈与を、信託金銭で不動産の購入ができるなど決められていれば、結果として課税資産の圧縮となり、相続税が減ったという例もあります。



「信託それ自体」では税務効果はありませんが、「信託した結果、受託者による生前対策」が行われれば、相続税などの圧縮を図ることは十分に可能です。

より詳しくは、下のリンクから受け取れる活用事例集が参考になります。

信託するとどうなる?

では、家族に財産を託すと、どんな変化が起こるのでしょうか。

不動産

まず、不動産であれば名義変更がされます。



信託目録という、信託契約の概要が作成され、登記されるのです。



不動産の登記事項証明書は申請すれば誰でも取得できます。

誰が受託者なのか明らかになっていないと、受託者が不動産を管理・運用・処分をスムーズに行えないからです。

預貯金などの金銭

委託者の預金を信託財産にするなら、受託者名義の信託専用口座を開設してそこに送金します。

以降、家賃収入といった収入もそこで管理します。

そこから出金するには、当然キャッシュカードが必要になりますが、これを受託者が管理することになるわけです。



もし、多額の金銭を信託する際には、委託者の方が不安になることもあるでしょう。

最初は少額の入金に抑えるか、当初はキャッシュカードや通帳を委託者が保管・管理して、時期をみて受託者に渡すといった手順なら安心できるかもしれませんね。

投資信託とは違う?

信託と聞くと、「投資信託」を思い浮かべますよね。

しかし家族信託と投資信託は全く違います。



投資信託は商事信託の一種、家族信託は民事信託の一種です。

商事信託は、銀行などが営利を目的として財産を預かる信託です。

一方民事信託は、営利を目的とした信託ではありません。



とはいえ、家族が受託者になったとして、受託者(家族)に支払う報酬を定めるのは自由です。受託者の負担との兼ね合いもあると思います。話し合いで決めましょう。

無いとは思いますが、受託者となった方が「受託者業」を志してはいけません。



例えば、お知り合いに「自分は受託者の事務経験がある。報酬を支払ってくれれば受託者になってあげるよ」などと言って、報酬を受け取る目的で不特定多数の方の受託者になると、信託業法違反となります(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)。



同じ理由で、弁護士や司法書士に受託者になってもらうことはできません。

依頼しても丁重に断られるでしょう。逆に、「積極的にやります!」という専門家がいたら、警戒なさった方がよいかもしれませんね。

信託できる財産

では、信託できる財産とできない財産を見ていきましょう。

まずは信託できる財産です。



・不動産(土地・建物、借地権など)

・預貯金

・有価証券(上場株式、非上場株式、国債など)

・金銭債権(請求権、将来債権、貸付債権、リース・クレジット債権など)

・動産(ペットなど含む)

・知的財産権(特許権、著作権など)

・上場株式



信託法上、「金銭的的価値に交換できるもの」は信託できます。

ただし、上場株式は金銭的価値に交換できますが、大手証券会社で取り扱いがスタートしたのが2019年頃です。信託口口座の開設が必須なのですが、信託契約書が、信託口口座開設の際に求められる内容でなければ開設できません。



信託財産として上場株式を予定している方は、信託契約書作成時に、充分に注意しましょう。場合によっては、ご希望に沿えないかもしれません。

信託できない財産

では、信託できない財産はどんなものでしょうか。



・生命、名誉など

・借金(債務)、保証債務など
・一身専属権(生活保護受給権や年金受給権)



これらは金銭的価値に交換することができません。信託財産にすることはできませんので、もし検討中だった方は候補から除外してください。

まとめ

最後にポイントを再度整理しましょう。



・信託財産は受託者が管理・運用・処分する。

・受託者は報酬を受け取れるが利益を目的としない。

・金銭的価値に交換できる財産なら信託財産にできる。

・上場株式を信託する際は注意が必要。



このほか、仮想通貨や温泉や坂本龍馬の手紙やゴッホの絵画や月に行ける権利など、財産と呼べるものは様々に存在しています。



まだ歴史の浅い家族信託ですので、先例が少ないのが現状です。

どのような財産を家族に託すかは、専門家にご相談ください。

もう少し調べてみたいという方は、下のリンクから受け取れる活用事例集を参考にしてください。


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