どんな風に使われているのCase Studies

どんな風に使われているの
2018.11.25

道路沿いに隣接した兄弟で共有している土地の売却を見越して家族信託を活用した事例

埼玉県川口市にお住まいのAさんよりご相談です。

Aさん(長男)は三人兄弟で、父母より相続した土地に3人兄弟でそれぞれ住居を構えております。その土地は道路に接道しているため、非常に資産価値としても高くなっています。最近、3人兄弟共に高齢になり、いずれは、介護施設に入所することや、ご自分達のお子様の家の近くに住居を構える事も考えています。このままでは土地を売却する時に様々な障害があるのではと不安を覚えているそうです。また、3人兄弟共に土地を売却する事で考えは一致してしるそうです。

画像1

『何もしなかった場合』

Aさん(長男)が88歳と確かに高齢ではありますので、数年後には認知症のリスクや体調不和も考えられます。(他の兄弟も含め)

このまま何も対策を打たないと、仮に3人兄弟の中に一人でも認知症により意思判断能力が喪失してしまうと、不動産の管理・処分はできないことになります。また、お亡くなりになった場合は相続の権利関係が複雑で細分化されてしまい、トラブルの元になる可能性も否定できません。

『成年後見制度を使った場合』

ご兄弟の1人でも認知症を発症し判断能力が無くなってしまったら成年後見制度を利用せざるを得ません。ですが、今回のケースの場合資産がそれなりにありますので、ご親族が成年後見人にはなれず、専門の士業が選任されることになります。何度かお伝えしているように、成年後見制度ははご本人の財産を守る為にありますので、不動産の売却はかなり難しいことになり、そのほかの財産についても、それ相当の理由がなければ自由にすることもできません。

『遺言を使った場合』

仮にご兄弟3人で遺言書を作成し、財産の承継先は決められても、今回のケースでいう不動産の共有に対する対策には有効ではありません。
遺言書には、財産の管理機能は備わってはいません。やはり、任意後見や家族信託などの活用を併用する必要があります。

『家族信託を使った場合』

Aさん(長男)を筆頭に3人兄弟で不動産を売却し、子供の世代に引き継がせたくないとの意思の一致がありましたので、次の3つの信託契約を結びました。

信託設計1

委託者:Aさん(長男)
受託者:Aさん(長男)の子供
受益者:Aさん(長男)
第二受益者:Aさん(長男)の法定相続人
信託財産:Aさん(長男)の自宅・現金(管理費用)
終了事由:Aさん(長男)・次男・長女の自宅売却完了時
帰属権利者:信託終了時の最終受益者

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信託設計2

委託者:長女
受託者:Aさん(長男)の子供
受益者:長女
第二受益者:長女の法定相続人
信託財産:Aさん(長男)の自宅・現金(管理費用)
終了事由:Aさん(長男)・次男・長女の自宅売却完了時
帰属権利者:信託終了時の最終受益者

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信託設計3

委託者:次男
受託者:Aさん(長男)の子供
受益者:次男
第二受益者:次男の法定相続人
信託財産:Aさん(長男)の自宅・現金(管理費用)
終了事由:Aさん(長男)・次男・長女の自宅売却完了時
帰属権利者:信託終了時の最終受益者

『まとめ』

家族信託を利用し、Aさん(長男)の子供さんに不動産の名義を一本化する事ができました。これで、三兄弟の誰かが認知症を発症し意思判断能力が喪失したとしても、信託契約で定めた目的にに従い、受託者の判断で信託財産の売却処分が可能となりました。
また、信託の終了を3兄弟の自宅売却終了時までとしていますので、3兄弟のいずれかに相続が発生した場合でも、受益権の移動をその法廷相続人にしてしてありますので、名義は受託者から変わらず継続して自宅の売却を続けていくことが出来ます。最終的に売却が完了した時点(信託終了時)で、受益者に売却代金を分配し清算する事ができます。

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