どんな風に使われているのCase Studies

どんな風に使われているの
2018.11.20

認知症・体調不良を抱えたアパートオーナーの資産管理を家族信託を利用した解決事例

杉並区にお住まいのUさんより相続・資産管理のご相談です。

Uさんは自宅の他に、アパートを数棟所有しています。現在、アパートの管理はご自身で行っていますが、最近体調不良で入院したことや、認知症の不安も覚え、同居している長男にアパートの経営等を任せたいと思っています。また長女は結婚して実家にはいませんが、将来はアパートを一つ相続させたいと考えています。

一連の想いを解決するには何か良い方法はないかと当事務所にいらっしゃいました。

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『何もしなかった場合』

Hさんがもし認知症により判断能力を喪失した場合は以下のようなデメリットが生じます。

  • ・アパートの賃貸管理ができない
    ・アパートの大規模修繕、建て替え等ができない
    ・アパートの売却ができない(相続対策不可)

※遺言書を作らなかったとした場合は、相続開始後10ヵ月以内に法定相続人で誰が何を相続するか遺産分割協議を行わなけれなならない。

『成年後見制度を使った場合』

Uさんには、資産があるため親族が成年後見人にはなれないと見ておいた方が良いです、その場合は専門の士業が選任されることになります。また専門士業が後見人につきますので、Uさんにとって、意味のある合理的な理由でしか金銭の支出はできません。
具体的には、相続対策であるアパートの建て替えや大規模修繕、売却による財産の整理・処分は出来なくなります。

『家族信託を使った場合』

長男さんが相続予定のアパートについては長男さんが受託者、長女さんが相続予定のアパートには長女さんが受託者、利益(家賃)を受け取る権利は、受益者のUさんとする新滝契約を2つ作成致します。

【信託設計1】
委託者:Uさん
受託者:長男さん
受益者:Uさん
信託終了事由:Uさんの死亡
帰属権利者:長男さん

画像2

【信託設計2】
委託者:Uさん
受託者:長女さん
受益者:Uさん
信託終了事由:Uさんの死亡
帰属権利者:長女さん

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『結果』

委託者と受益者がUさんですので、名義だけを受託者であり長男さん・長女さんとする信託契約を結ぶことによって、【不動産取得税】【贈与税】【譲渡所得税】は発生しません。
Uさんが元気な間は、Uさん・長男さん・長女さんの共同でアパート管理を行い、Uさんが認知症発症に伴う判断能力が低下した場合は、長男さん・長女さんそれぞれがアパートに関する権限を持っていますので、管理・修繕・建て替え・処分を自由に行えるようになっておいます。また、Uさんが死亡した場合でも、財産の帰属先にそれぞれ長男さんと長女さんを定めてありますので、遺産分割協議をすることなく信託契約に記されている通りに相続することができます。

これは、生前にしっかりとした対策を打ったことで円満な後の相続を迎えられるケースとなります。Uさんの将来の不安の払しょくはもちろんのこと、残される長男さん長女さんにとっても、トラブルを未然に防げますし安心して相続する事ができます。

相続対策は、財産の把握に始まり相続税がいくらかかるのか、どう対処すれば節税できるのか、色々不安な点があると思いますが一番大切な事は、ご家族で話し合いを持ち元気な内に取り組みを始めると言う事です。

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