どんな風に使われているのCase Studies

どんな風に使われているの
2018.11.14

子供のいないご夫婦に財産承継を家族信託(民事信託)で解決した事例

国立市にお住まいのAさんよりご相談です。

ご相談者のAさんは現在84歳で奥様は76歳です。お子様はいらっしゃいませんでした。Aさんの亡くなったご両親は資産家で、その大部分の遺産を長男であったAさんが相続しました。

Aさんには、2人の弟さんがいらっしゃいましたが、次男さんは数年前に亡くなっています。子供のいないAさんご夫婦をしたって次男さんの子供(甥)がAさんご夫婦を気にかけてくれています。

Aさんは、そんな毎日の中で最近自分がもし亡くなった後は相続とかはどうなってしまうのだろうと漠然と思いはじめました。一番気になる事は、先祖代々、父親から受け継いだ財産は妻の親族へ受け継がれてしまうのではないかとの不安です。もし自分が亡くなり妻も亡くなった後は妻側の親族ではなく、自分の親族である甥に残したいと思っています。

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『何も対策をしなかった場合』

もし認知症などによりAさんの判断能力が喪失した場合、自宅兼マンションの管理・大規模修繕等は出来なくなります。またAさんが遺言書を作らずに亡くなった場合、法定相続人(Aさんの兄弟、妻・甥・姪)となり、誰が何を相続するかという遺産分割協議を行う必要があります。

『成年後見制度を使った場合』

Aさんが判断能力を喪失して成年後見制度を利用した場合、Aさんにはかなりの資産がありますので、親族が成年後見人になることは難しく、専門の士業等が成年後見人になる可能性が高くなります、これはAさんの立場にたって意味のある合理的な理由でしか支出が認められなくなるという、ご家族にとっては不自由さが発生します。妻の生活費においても、どこまで支出を認めるか成年後見人と裁判所の間で協議が必要となり、柔軟な財産管理を望むことは難しいでしょう。
任意後見を活用した場合でも、任意後見監督人が選任され上記同様、財産管理についても任意後見監督人に対する定期的な報告が必要なため、柔軟な財産管理は望めないでしょう。

※成年後見はその本人の財産を守ることが主となりますので、支出に関しては厳しい取決め(裁判所の判断)が必要になります。

『遺言書を作成した場合』

ご夫婦でお互い遺言書を作成しておくことで、Aさん亡き後は→妻、妻亡きあとはAさんの親族という形で財産を承継することは可能です。ただし遺言書は、いつでも変更や撤回することが可能ですし、万が一、妻とAさんの親族の仲が悪くなった場合は、遺言書を撤回されてしまうかもしれません。
さらに言うと遺言書には、生前の財産管理機能がないため、認知症(判断能力の喪失)の対策にはなりません。ですので、併せて任意後見や家族信託(民事信託)を活用する必要があります。

 

『家族信託(民事信託)を使った場合』

Aさんが亡き後は妻へ、妻亡き後は甥へ財産が取得できるようにします。

委託者   :Aさん
受託者   :甥
受益者   :Aさん
第二受益者 :妻
信託財産  :自宅兼マンション・アパート一棟・預貯金
信託終了事由:Aさん及び妻の死亡
財産帰属先 :甥

 

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上記図のように信託契約を結ぶことで、甥に残したい財産とAさん及び妻のその後の財産管理を甥に託し、資産(財産)の承継をすることが出来ます。
これで、Aさん、Aさんの妻が亡くなった後は、Aさんの想い通りAさんの親族側に先祖代々の資産(財産)を取得させることが出来ました。

※信託契約は契約時に財産の特定をするため、全財産を信託することはできませんので、信託契約以外の財産を遺言書で定めておくことも検討すべきです。

※信託契約の条項は、段階的に追加する事も可能です。(受託者負担軽減)

※家族信託は身上監護機能はありませんので、Aさんの妻の身上監護は成年後見制度を活用し、積極的な財産のみを信託財産として管理する方法もあります(受託者負担軽減)

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