東京都狛江市にお住まいのAさんよりご相談です。
Aさんの家族構成は以下の通りです。
Aさんの両親の遺産であるマンション(10戸)があり、B姉が6戸を所有Aさんが4戸を所有しています。またそのマンションのある敷地内に戸建を建てAさん夫妻が居住し、B姉はマンション内の一室に居住しています。(C兄はカナダ在住:日本に帰る事は無いとの事)
B姉は他にも貸家とその敷地もご両親から相続しておりますが、貸家が老朽化し現在は空き家状態です。
B姉は子供がいないので、10年ほど前に公正証書遺言を作成しています。
将来的な相続や相続税等を全てクリアにしたいとの事でした。
『AさんとB姉の今後の要望』
AさんとB姉から、何度となくお話を伺い問題解決のポイントを絞り込んでいきました。まずはB姉の公正証書遺言の中身です。
①マンション6戸の内3戸をC兄に相続させる
②マンションのほかの敷地と貸家をAの子供に共有持ち分1/2づつ遺贈する
③マンションの残り3戸と金融資産などその他全部をAに相続させる
④C兄の相続分としたマンション3戸は、相続発生時にC兄が死亡していた場合はC兄の妻に遺贈される
⑤C兄の相続分としたマンション3戸は、相続発生時にC兄もCの妻も死亡していた場合はC兄の娘に遺贈される
遺言の内容を踏まえた上で、相続発生時の懸念事項や要望を列挙しました。
①相続税の対策は考慮されていない(遺言書)
②推定で相続税の発生は間違いなく、納税資金の確保が必要(不動産売却等)
③C兄は日本に帰る事が無い為、B姉より相続されたマンションの処遇(換金)
④C姉は現在施設入居しているが、たまに自宅へ帰ってきている
⑤実質の管理はAさんが全て行っている
⑥Aさんが亡くなった場合の資産の管理は誰が行うか
遺言ならびに上記の懸念事項を踏まえて、当事務所より家族信託のご提案をさせて頂きました。
委託者:B姉
受託者:Aさん又はAさんの子供D
受益者:B姉
信託財産:B姉の不動産
信託期間:B姉の死亡時
残余財産帰属先:B姉の遺言によって相続
ポイント
今回の事例においては、遺言書を踏まえた上で、親族への資産継承と法務・税務を照らし作成したことが重要なポイントです。