どんな風に使われているのCase Studies

どんな風に使われているの
2018.11.24

不動産の共有名義問題を家族信託にて解決した事例

神奈川県相模原市にお住まいのSさん(長女)からのご相談です。

Sさん(長女)のご両親は現在、介護施設に2人とも入所されています。Sさん(長女)はご両親の入所されている近隣にお住まいです。妹さん(次女)がおりますが、遠方に住んでいて、もっぱらご両親の面倒はSさん(長女)がみている状況です。

実家は、ご両親が介護施設んい入所されているため空き家状態。ですが、時折、ご両親が自宅に帰りたいと言うのでそのままにしている状態だそうです。

Sさん(長女)的には、いずれ両親の預貯金(現金)だけでは介護費用等を賄えない事も予想され、実家の処分も検討しなくてはならないと思っています。

妹さん(次女)は仲が良く、将来的に両親が亡くなった場合は2人で均等に財産を分けようと思っているそうです。

全てをまとめて解決する方法はありますかとのご相談でした。

※ご両親の自宅名義は父:持分1/2、母:1/2になっているそうです。

画像1

『何もしなかった場合』

この事例は割と多いケースになります。以下に想定されるデメリットを明記します。

※ご両親のどちらかが認知症になった場合

・自宅売却ができなくなる
・どちらかが死亡した場合、成年後見制度を利用しないと遺産分割協議ができない
・基本、柔軟な財産管理はできない

『成年後見制度を使った場合』

ご両親のどちらかに認知症を発症し意思判断能力を喪失した場合、成年後見制度を利用する事になります、ある程度の資産がある場合は親族が後見人になることはなく、専門士業が選任されることとなります。成年後見制度はご本人の財産(資産)を守るためにありますので、資産(財産)の管理は柔軟にはいきません。相応の理由があった場合でも、家庭裁判所の判断を必要とします。基本的には合理的理由のある支出しか認められません。

『遺言書を作成した場合』

何度かこの事例集でもお伝えしている通り、ご夫婦で遺言書を作成し財産の承継先を指定することはできますが、遺言書は撤回・変更が可能です。また、遺言書には財産の管理機能はないため認知症の対策にはなりません。財産管理を付加するのであれば、成年後見制度や家族信託を併用する必要性があります。

『家族信託を使った場合』

ご両親のどちらかが亡くなった場合を想定し、信託契約を2つ作成致します。

信託設計1

委託者:父
受託者:Sさん(長女)
受益者:父
第二受益者:母
信託財産:自宅(父持分)・現金
信託終了事由:父及び母の死亡
帰属権利者:最終受益者の法定相続人

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信託設計2

委託者:母
受託者:Sさん(長女)
受益者:母
第二受益者:父
信託財産:自宅(母持分)・現金
信託終了事由:父及び母の死亡
帰属権利者:最終受益者の法定相続人

『結果』

この2つの信託契約を結ぶことで、ご両親の名義だった自宅がSさん(長女)1人に一本化できました。これでご両親のどちらかが認知症になった場合、お亡くなりになった場合でも、財産の管理・売却等に支障はでません。

今回の信託設計では認知症の対策はもちろん、ご両親のどちらかが亡くなった場合でも、第二受益者を設定しているので、その後の生活に支障なきようになっています。

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