こんにちは!
少しづつ朝晩冷え込むようになってきましたね。
お鍋がおいしい季節になりそうで、楽しみです!
さて、前回に続いて、
「家族信託が注目される理由」
について考えてみたいと思います。
前回は、認知症高齢者の増加でしたが、
今回は
「成年後見の問題点」
です。
認知症への対応として活用できる選択肢の一つに、
「成年後見制度」
があります。
実は「法定後見」と「任意後見」の2種類に分かれるのですが、
圧倒的に「法定後見」が多いため、ここでいう「成年後見」は「法定後見」のことを指すものとします。
さて、成年後見は、親族等が家庭裁判所に申し立てをして、
認知症などで判断ができなくなってしまった人のために
「成年後見人」を選んでもらい、その「成年後見人」が本人の財産を管理しつつ、
生活環境を整える(身上監護)制度です。
現在は20万人強の方が利用しています(司法統計より)。
前回のコラムに記載しましたが、認知症患者は2012年時点で462万人ですから、ざっくり
20万 ÷ 462万 = 約4.3%
の利用率ということになります。(簡易の計算ですので、正確ではありません。)
この数字、皆様はどう思われますか?
私は、少し少ないのではないかと思います。
なぜ少ないのか?
実は最近個人のお客様からも、
「成年後見って大変なんでしょ?」
「面倒くさいって聞いた。できれば使いたくない。」
というお声を頂きます。
どうも成年後見に対するネガティブな情報があり、
積極的な利用をためらう方が多いように思います。
具体的にどういうことか?実は成年後見、以下のような問題点があります。
(もちろん、良い点もたくさんあります。)
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<成年後見の問題点>
①裁判所が関与する
②継続的課金
③止められない
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それぞれ見ていきましょう。
①裁判所が関与する
成年後見が開始すると、ご本人の資産は後見人を通して
裁判所の管理下に置かれます。
不動産の売却や、大きな金額の振り込みなどは
その都度後見人・裁判所への確認が必要となってしまいます。
また、本人のために必要な支出しか認められませんので、
例えば「お孫さんに就職祝いをあげたい!」と思っても
「資産を減らすだけで本人のためにならない」
と判断されることになるでしょう。
その他にも最低年に一度の家庭裁判所への報告義務や、
自宅売却時には正式な許可審判書が必要となったりと、
ご自身で管理していた時よりも負担が非常に大きくなります。
これが、成年後見の問題点その1です。
②継続的課金
家庭裁判所の統計によると、親族以外の者が後見人に就任する率は、
約70%です。少なく見積もっても、65%程度の確率で、
司法書士や弁護士等の専門職が就任するということで
大きな間違いがなさそうです。
そして、専門職が後見人になるということは、
報酬がかかるということです。
では、どのくらいかかるのか。
東京家庭裁判所のHPを確認すると、
「財産額5000万円の場合、月5~6万円を標準とする」とあります。
すなわち、財産評価額5000万円であれば年間約60万円~72万円かかるということです。
約70%の確率で、専門職が後見人になり、少なく見積もっても年間40万円以上かかる
成年後見の問題点その2です。
③止められない
成年後見は、ひとたび利用し始めると、
認知症などが完全に回復するか、亡くなるまで途中で止めることができません。
上記①の裁判所の関与や②の継続的な課金が、長い方で5年~7年間続きます。
例えば月4万円ほどの報酬がかかる方が5年間成年後見を続けた場合、
4万円 × 12か月 × 5年間 = 240万円
が必要になります。また、上記の報酬のほかにも、後見人の使用した実費や、
不動産売却などの特別の事務があった場合には追加の報酬がかかります。
これが、成年後見の問題点その3です。
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以上のように、成年後見制度には少し問題点があります。
そして、それに代わる柔軟な財産管理の手法として、
家族信託に注目が集まっているのです。
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以上、簡単ではありますが、
「家族信託が注目される理由」
を考えてみました!
ありがとうございました。