昨今、新型コロナウイルスの脅威にさらされ、有名人の相次ぐ訃報を耳にするたびに、死について改めて考えさせられるようになりました。
万が一の時のために「自らの想い」を残そうと考えて、まず思い浮かぶのは遺言書なのではないでしょうか。
ただ、遺言書は難しそうだし自分にできるのか不安で、実際に行動に移せない方が大半だと思います。
そんな方に、遺言書なしで手軽にできる「遺言代用信託」をご紹介します。
「遺言代用信託」とは、主に信託銀行が個人の方に提供しているサービスで、信託を使った財産承継に関するサービスです。
「遺言」という言葉は入っていますが、「遺言」ではありません。
「銀行の提供する信託という仕組みを活用したサービス」とご理解ください。そんな「遺言代用信託」は、遺言書を作成せずに、「誰にいくら残すか」を指定できるので便利なのですが、注意点もあります。
記事の最後には無料のプレゼントもあります。是非最後までご覧ください。
目次
遺言代用信託の仕組みはこうです。
まず金融機関と契約をして、財産を金融機関へ信託します。
そして、その契約の中で、「自分が亡くなった時の財産の受取人」を指定できるのです。
ご本人に万が一のことがあれば、金融機関が指定された受取人に対して信託財産を支払います。
生前に何も対策をしないまま亡くなると、その人の「預貯金が引き出せなく」なり、葬儀費用などが支払えないというトラブルになります。
もし、遺言書が残っていればスムーズに相続手続きができるのですが。遺言代用信託をつかうと、遺言書が無くてもこのようなトラブルを防げるのです。
これは、「金銭」を予め「信託財産」としておき、”信託財産は遺産分割協議の対象にならない”という仕組みを利用したものです。
※なお、遺言代用信託と似たような言葉ですが、遺言信託というものがあります。これは、遺言書の保管から執行までを信託銀行などに任せるサービスであり、遺言信託とは全く異なります。
また、遺言代用信託では、指定された人が「定期的に定額を」受け取れるようにしておく事もできます。
相続が発生して、「突然多額の金銭を手にすると、詐欺や浪費が心配」であれば、定額の受け取りがおすすめです。
信託財産から「生前に、ご本人が」定期的に受け取ることもできます(金融機関による)。
一旦金銭を信託して、年金のように受け取ることで、生活資金を確保できるのです。残った額を指定した人が受け取れるので計画的ですね。
遺言代用信託では、親から子への指定ができますが、「もし子どもが亡くなったら孫に」という世代を超えた指定もできます。
通常の遺言書ではこれはできません。これも、「信託」という仕組みならではの機能です。
遺言代用信託の注意点は、信託できるのが金銭のみという点です。
不動産や株式といった財産を信託することはできません。これは金融機関のサービス内容で決まっていることなので、交渉の余地は一切ありません。
遺留分についても考慮しておかなければいけません。
遺留分とは、相続人に当然に認められる財産を相続する権利のことです。
これを侵害するとトラブルになります。
例えば、500万円分の相続(遺留分として)を受けられるのに、遺言代用信託で「全て配偶者に渡す」とされていたために、50万円しか受けられなかった人は、450万円分を「侵害された。返してくれ」と請求できるのです。
なので、遺留分を侵害するような遺言代用信託はできないと思っておいてください。
※なお、遺言代用信託の場合も、相続税を通常通り課税されるので節税にはなりません。
※2019年の民法改正で、「預金の仮払い制度」が創設され、同様に亡くなったご本人の預貯金を引き出せるようになりましたが、150万円という上限があるので、葬儀などの資金が十分に準備できるとは限りません。
前述のとおり、遺言代用信託では金銭しか信託できませんので、不動産も信託したい場合には家族信託をおすすめします。
家族信託は、金融機関に信託するのではなく、信頼するご家族に信託をする仕組みです。金融機関が介在しないため、より家族で柔軟な管理が実現できるのに加え、受託者に支払う報酬も原則として発生しません。
家族信託の場合は、家族信託のプロのアドバイスを参考にしながら、遺言代用信託と同様のメリットが受けられます。
ご本人に万が一認知症や重篤なご病気等の事態があれば、自宅の売却や預金・その他金融資産の処分は不可能になってしまいますし、投資用マンションなど所有しているのであれば、管理・修繕ができなくなってしまい賃貸経営の継続が難しくなる可能性があります。
家族信託であれば、金銭はもちろん不動産も信託できますから、不動産についての心配も解消しておきたいようでしたらこちらがおすすめです。
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