今回は、タイトルの通り、「母の住所と娘の住所が離れている場合の相談先」についてです。
先日、お客様からご質問頂いた内容を基に考えてみたいと思います。
目次
さて、まず初めに家族信託活用のメインは、高齢者の方の財産管理を、予め子世代・孫世代に託しておくことにあります。
ですので、家族信託の準備は「財産を託される予定の方」、つまり子世代や孫世代の方(以下、「受託者」)が中心となって進めるケースが多いです。
今回の例では、娘さんが受託者を引き受けることになります。娘さんのご住所は東京で、母親とはかなり離れて暮らしています。
娘「お母さんと家族信託をしたいけど、誰に頼めばいいかわからない。」
娘と母親のいずれも、住所の近くに「家族信託の相談承ります」と掲げている司法書士事務所があり、どちらに相談したらいいのか悩んでしまいました。
さて、こんな場合にどんな基準で司法書士を選択すればよいのでしょうか?
検討すべきポイントは①預貯金の管理がしやすい銀行②公証役場の場所③選ぶべき専門家の3点です。
まずは、信託された現金などを管理する為の信託専用口座の問題です。
信託契約を結び、現金を信託する際は、母親(委託者)の預金の全部または一部を信託専用の口座に移します。その後の管理は基本的に受託者が行いますので、この場合は、娘さんの住む東京に支店が少なかったり、ATMの取扱時間が短かったりする金融機関で口座を開設してしまうと、管理が大変不便になってしまいます。
次に、公証役場の場所です。
家族信託を契約した際に作成する信託契約書は公正証書にします。公正証書の作成は、公証役場で公証人や司法書士の立会のもと委託者と受託者が集まって行われます。
ですので、例えば委託者が病気などで、東京の公証役場にお連れするのが困難な場合は、現地の公証役場を利用することになりますが、その場合は、司法書士の日当・交通費が加算されることになります。
つまり、極端に費用を気にしなければならない場合は、母親の住所地の近くで家族信託に強みを持つ司法書士を探すほうが良いかもしれません。
最後に、選ぶべき司法書士です。
「家族信託を取り扱っているから」「出張費がかからないから」などの理由で、司法書士を選んでしまうのは少し危険です。
というのも、家族信託は、どんなに費用が安くなるように選んだとしても決して安価なサービスではありません。
そして、長期的な運用を期待している(そうでなければ意味がない)契約ですので、将来の資産管理・処分をある程度予測し、どんな場面でも運用に困らないように、しっかりとした設計をしていく必要があることから、豊富な経験と確かな実績が不可欠です。
また、実際に財産を託された受託者にしてみれば、今後相談したいときに気軽に相談できる
距離感も大切ですし、ご家族の心情に寄り添うことができて、アフターフォローがしっかりしている、そんな信頼できる司法書士が近くにいたほうが、安心です。
以上をまとめると、本記事のポイントは次のようになります。
母(委託者)の住所と娘(受託者)の住所が離れている場合は…
信託専用の口座は、受託者が管理しやすい(近くに支店などが多い)金融機関で開設する。
地方の公証役場を利用する場合は、司法書士等の出張費が加算されるが、それだけで判断せずに長期的なメリットで選ぶ。
受託者が気軽に相談できる距離で、人間的にも実績的にも信頼できる司法書士を選ぶ。
司法書士リーガル・パートナーでは、あなたの家族の問題や不安の解決案を検討する専門性の高いスタッフと、接客や接遇の研修を受けたサービス力の高いスタッフがお客様との大切なご面談を担当いたします。
オンラインでもご相談は可能ですので、是非一度ご相談ください。