2021.03.02

家族信託の9つのデメリット!これを知らずに契約してはいけない!?

「認知症対策」や「相続対策」に効果のある”家族信託”ですが、メリットばかりではなくデメリットもあります。家族信託を取り組もうと考えている方は、デメリットも認識した上で、検討をすすめていくことで、家族信託で失敗してしまうことを防ぐことができます。

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 受託者に広い裁量権がある

家族信託契約をしても当然に裁判所の選任する専門職が介入することはありません。

これはメリットでもありますがデメリットにもなります。

財産を任される受託者には広い裁量権があり、それを監視・監督する公的機関がないのです。それが家族信託のメリットなのですが、もちろん、受託者は“受益者のため”という法律上の義務を負いますが、家族間ならではの甘えなのか「横領」などのリスクを完全に”ゼロ”にすることはなかなか難しいのです。

そもそも、受託者には財産管理状況についての「報告義務」があります。受託者は、受益者に対して年に1度、信託事務の処理の状況や財産の状況を受益者に報告しなくてはなりません(信託法37条3項)。

しかし、ご本人の判断能力が低下したあとでは、その報告内容を適切にチェックすることは難しいでしょう。

また、この報告を、受益者から請求をすることもできますが(信託法38条1項)、本人が認知症になってしまった後では適切な請求は難しいでしょう。

したがって、この報告義務は実質的には機能しなくなる可能性もあります。

そのような場合、「受益者代理人」や「信託監督人」という受益者の権利を保護する者(お目付け役)を家族の中から選んだり、委託者である本人に「指図権」や「同意権」を残すことで対処できるのですが、そもそも受託者のことを「強く信頼できる」からこそ家族信託のメリットを最大限受けることができるのであり、その大前提がない場合は、残念ながら家族信託には取り組まない方が良いかもしれません。

 財産の管理を誰もやりたがらない場合がある

家族信託の受託者を誰も引き受けたがらない場合があります。そうすると家族信託自体ができません。

例えば、建物を目的とした家族信託の場合には、受託者には建物について管理する義務がありますし、毎年かかる固定資産税の納税通知書も受託者にきます。

そういう意味で受託者の負担は割と重いものになることもあり、誰も受託者を引き受けたがらないということがあります。

関連記事:知っておきたい受託者の役割 ←コチラの記事で受託者の役割を解説しています

 親族間の不公平感を生む恐れがある

推定相続人として複数の子がおり、そのうちの1人を受託者とした場合に、他の子に何も知らせず勝手に家族信託を進めてしまうと、知らされなかった子から文句が出てくることもあります

受託者である人は信託された財産に対してとても大きな権限を持つため、財産の収支等がブラックボックス化してしまうこともあり、お金を使い込んでいるのでないかという疑いが生まれ、家族間の争いに発展することがあります。

それを防ぐためには、あらかじめ家族信託を進める前にしっかりと家族会議をしておくことが重要です。

 長期にわたり受託者が契約内容に拘束される

家族信託契約は契約して終わりというものではありません。むしろ“契約をした時がスタート”で、長期間にわたって運用を続けていくことでメリットを最大限受けることができます。

その間、受託者は長期間家族信託契約の内容に拘束されます。毎年、受益者である父親に向けて信託された財産の収支を作成報告し、報告書類を保管をする手間も発生します。

 両親に契約の同意が取りにくい場合がある

家族信託の主役はご高齢のご本人です。そのため受託者候補の方の意向だけで進めることはできません

しかし、家族信託は、「贈与」や「売買」に比べると、日常、あまり耳にしない契約であることから、「よくわからないから嫌だ」と言われてしまい、同意が取れないということがあります。また、「投資信託」と誤解をされ、金融商品と勘違いされるといったこともありました。

もう一つは、形式的に財産が受託者の名義に変わることです。特に不動産の場合に、不動産登記の名義が受託者に変わるため、生きてる間に「不動産をとられてしまうのではないか」という不安が生まれ、同意が取れないこともあります。

このような場合には強引に進めるよりも、家族会議に専門家を立ち会わせ、説明を依頼するなどで解決できることがあります。

 収益不動産の損益通算ができなくなる場合がある

収益不動産を複数所有している場合に、「家族信託をした不動産」と「信託していない不動産」とは損益通算ができません。これは信託財産は本人固有の財産とは分別して管理することが法律の決まりである為です。ただし、収益不動産は全て信託したほうがメリットが大きいので、いずれかだけ信託しないという契約をする必要はあまりないとも言えます。

 税務申告の手間がかかる

家族信託をした場合に受託者には、税務署へ書類の提出を求められることがあります。

例えば信託財産から発生する収益の額が3万円を超える場合には毎年、信託の計算書を作成し提出する必要があるなど、手間が発生する場合があります。

 怪しいサービス業者が乱立している

最近の家族信託では、「価格の安さ」をうたい文句にして、専門家ではないサービス提供者や、資格をもった専門家でも「知識や経験が十分ではない」のに、専門的に取り組んでいると誤認させるようなホームページを開設している事務所がかなり目立ってきています。

「価格の安さ」をうたっているサービスは、オプションなどを考慮した上で、平均的な運用年数で試算してみると割高になるケースが多いですし、金融機関や専門職のサービスも、長期的な運用を前提とした場合に、パフォーマンスの良いサービスとは言い難いものが多いのも事実です。

家族信託は、価格やネームバリューに惑わさされずに、「本当に信頼できる専門家」に依頼しなければ、せっかくお金をかけて実行しても後悔してしまうことになります。

 相談できる専門家が少ない

家族信託に精通している専門家はあまり多くありません。そして、最も重要なことは家族信託“だけ”を知っていても絶対に最適な生前対策は立案できないということです。売買や贈与、相続その他のあらゆる法務に実績があり、家族信託にも精通している法務の専門家が、あらゆる知識や経験を比較・検討して初めて最適な生前対策を立案できます。

そのような専門家は、まだまだ多くありません。

そして、家族信託は契約をしてからがスタートです。契約から、契約後のサポートや信託の終了後の手続きまでを一貫して任せられる専門家でないと安心はできません。

契約書作成を依頼した専門家が、その後のフォローを期待できず、私たちのところに相談に来られた方もいらっしゃいました。

 まとめ 家族信託のデメリットを回避するには

✔ 本当に信頼できる人を受託者にする

✔ しっかり家族で話し合って契約し、家族でフォローし合える体制をつくる

✔ 家族が実現したいことをしっかりと思い描いた上で、専門家に相談する

✔ 契約からアフターフォローまでを安心して任せることができる専門家を選ぶ

✔ 家族信託契約後も気軽に相談できる専門家を選ぶ

以上、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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