2020.04.25

共有不動産の悩み解消!家族信託が役に立った家族の話

今回ご紹介するのは、マンションを相続した3人の兄弟のお話です。

兄弟は家族信託を検討し、慎重に信託契約の設計をした結果、「共有不動産」に関するトラブルを防ぐことができました。

あなたの現在のご事情と近いものがあれば、大変参考になる事例ですので、是非最後まで読んでみてください。

共有不動産問題に関しては、先日の記事も参考になります。

関連記事:認知症だけじゃない!家族信託を検討すべき場合3選

家族信託を検討した方がいい例

兄弟で共有の不動産

長男Aは、亡くなった父親所有のマンションを、10年前に次男B・三男Cとで3分の1ずつ共同相続しました。

相続した時点で長男は73歳でした。他の兄弟も高齢になってきたと感じていたので、マンションの管理は次男の子Eにしてもらうことにしたのです。

不動産の管理は甥に任せており、今後も任せたい

Eは現在もマンションの管理をしており、定期的にABCの3人へ賃料収入の分配を行っています。


Eは真面目で金融や不動産の知識も豊富で、ABCは安心してマンション管理を任せていられました。

ABC間には、相続したマンションが老朽化が進んできたら、いずれ売却して清算しようという合意がありました。ただ合意といっても、当然いつかはそうなるだろう、といった漠然としたもので、時期や方法までは決まっていません。

共有不動産の将来の売却に関するリスク

ところが、最近、長男の体調が悪くなってきたのです。

物忘れもひどく、認知症ではないかという疑いも出ています。

長男Aには、海外に住んでいる一人息子Dがいます。しかし、Dは次男Bや三男Cとは関係がよくありません。

もし近い将来、長男Aの体調が回復せず、不動産の共有持ち分3分の1をDが相続すると、円満な共有関係が崩壊してしまいます。

次男Bと三男Cがマンションを売ろうとしても、Dが反対するかもしれません。また、高齢な次男B、三男Cも持病を持っています。

もはや、長男だけの問題ではありません。将来的にスムーズにマンションを売却できるのか、かなり怪しくなってきました。

ABC3人のうち誰かが認知症や病気・相続発生(死亡)によって売却手続きが頓挫してしまうかもしれない。

ABC間で集まり話し合ったのですが結論は出ず、法律の専門家のものとへ相談をしにいきました。

共有者の抱える問題と、望むこと

ここで、3人の抱える問題を整理してみましょう。

問題点 ・長男の息子Ⅾが、将来不動産の共有持ち分3分の1を相続すると、円満な共有関係が崩れてしまい、マンションの経営や処分手続きに支障が出るおそれがある。

※実際、「他の共有者の同意を得ずに売却の話を進めしまったばかりに、契約直前でご破算になる」という事例もあります。

・ABCは高齢のため、認知症や相続発生などによる売却手続きの頓挫のリスクがある。
ABCの望むこと


 できることなら共有状態を解消して、将来起きうるリスクを回避したい。

 ABCの認知症や相続などによる資産凍結を回避したい。

数日後、「提案書」が郵送されてきました。そこには、家族信託を活用した解決策が書かれており、ABCの希望が細かく反映されてありました。

提案書の内容

 ①次男Bへのマンション管理を、信託契約の中で明文化して託す

ABCは、アパートの各共有持ち分を信託財産として、それぞれ次男Bの息子との間で信託契約を結び、次男Bの息子にこれまで通りアパートの管理を託す。

 ②権限を集約し実質的な共有状態を解消

ABCがそれぞれ信託契約をすることで、賃貸アパートの管理処分権限は次男Bの息子一人に集約され、将来的に長男Aが亡くなってⅮが相続人となっても、信託契約に影響はなく、円滑な管理が実現する。

 ③各共有者の事情に影響されない不動産売却

アパートの売却前にABCのうちいずれかに認知症や相続が発生(死亡)しても、受託者である次男の子どもEが、受託者として単独で売却手続きを行うことができる。

信託契約設計

信託契約1


 委託者:長男A

 受託者:次男の子E

 受益者:①長男A②長男の息子D

 信託財産:アパートの持ち分3分の1と現金

 信託期間:長男の死亡かつアパート売却手続き完了まで

 残余財産の帰属先:信託終了時の受益者

信託契約2


 委託者:長男A

 受託者:次男Bの子E

 受益者:①次男B②次男Bの子Eとその妻

 信託財産:アパートの持ち分3分の1と現金

 信託期間:次男Bの死亡かつアパート売却手続き完了まで

 残余財産の帰属先:信託終了時の受益者

信託契約3


 委託者:三男C

 受託者:次男Bの子E

 受益者:①三男C、②長男Aの子D・次男Bの子E

 信託財産:アパートの持ち分3分の1と現金

 信託期間:三男Cの死亡かつアパート売却手続き完了まで

 残余財産の帰属先:信託終了時の受益者

これなら、共有問題も回避しつつ、今まで通りABCの3人はEにマンション管理を任せながら、安心して暮らしていけます。

将来のマンションの売却については、Eが単独で売買契約の手続きを進められるので、Dの同意も不要ですし、ABCのうちの誰かが認知症になってしまっても影響はありません。



Dには後日売買代金を分配して、信託契約の役割は終了となるでしょう。

まとめ

もしもABCがなんら対策を打たずにおけば、

ABCのうちの誰かに万が一の事があった後、Ⅾとマンションを共有することになります。

共有不動案の処分には共有者全員の同意が必要ですから、売却するならⅮと連絡を取り、売買契約の際に立ち会ってもらうか、第三者への委任状を書いてもらう必要があります。

そもそも、今回のようなケースでは、売却の手続きのために協力的に動いてくれるとも限りません。

このような共有不動産の問題は、夫婦間・親子間でも起こり得ます。

もしあなたが、「今まさにこのような問題に直面している!」「直接相談にのって欲しい!」のであれば、下のリンクから無料のメール相談をご利用いただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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