2021.09.01

生前贈与と家族信託はどっちがいいの?比較しながら解説しました

成年後見と家族信託はどちらがいいのか?

こんにちは、リーガル・コンサルティング&パートナーです。

これから、家族で相続対策などに取り組んでいきたい方がよく迷われるポイントとして、「生前贈与とその他の制度との比較」があります。

そこで今回は、生前贈与と家族信託との比較をとおして、各制度のメリット・デメリットなどをお伝えできればと思います。

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 生前贈与は有効な相続対策なのか?

 生前贈与とは

生前贈与とは、主に相続税の節税対策を行うために贈与を利用するものです。

生前贈与で元気なうちに次の世代に財産を移転して、自分の相続財産評価を減らすことができるので、相続税対策として効果があります。また、相続した人が相続税を納税する際に困らないように、事前に納税資金として渡しておく納税資金対策や、認知症による財産凍結対策という面から見ても非常に効果的な相続対策といえます。

 生前贈与の特徴

贈与税の非課税枠や特例(子や孫の住宅取得資金等の贈与、子や孫の教育費の贈与など)が多数用意されており、現金などの流動資産であれば非課税で財産を移転できるケースが多いところが魅力です。

一方で、財産の多くを不動産が占める場合はどうでしょうか?

不動産の評価額は、通常実際の取引額よりも低い評価となりますので、同額の現金を贈与することに比べて、贈与税の負担は小さいのですが、子世代が不動産の贈与を受ける場合には不動産取得税が課税されたり、相続時に比べ登記の登録免許税が高額になるため、諸費用の負担が大きくなりがちです。

 家族信託との違いはどうか?

 家族信託のイメージ

家族信託は財産にまつわる権利の中で、「財産を管理、運用、処分する権利」だけを所有権から切り離し、これらの権利を子などに移すことができます。親には「財産権(財産から利益を受ける権利)」が残ります。「財産を管理、運用、処分する権利」と「財産権(財産から利益を受ける権利)」とを切り離し、「財産を管理、運用、処分する権利」だけを子に渡すイメージです。

 家族信託の特徴

親が認知症等になっても、子が預貯金を下ろしたり不動産の管理・処分ができるようになります。贈与税や不動産取得税などの税金をかけずに名義を変えられるので、認知症対策に有効です。

判断能力が低下した親が、悪意のある第三者に財産を詐取されたりするリスクも避けられるのも魅力です。

しかし、節税という観点で見ると家族信託には相続税の節税効果はありません。何故なら家族信託では「委託者=所有者」という考え方ですので、税務上の財産権は親に残り、相続が発生して財産の承継が起こると、そのときに相続税が課税されます。

ただ、相続税は基礎控除も大きいので、そもそも相続税が課税されないご家庭が多いのも事実です。なので、ご自身の家庭で相続税がかかるのか?かかる場合はいくらぐらいかかるのかを明らかにしたうえで対策を検討することも重要です。

(リーガル・コンサルティング&パートナーではパートナー税理士と連携して税金の試算も承っておりますので、ご相談ください。)

 結局、どっちがいいの?

 生前贈与がいい場合

生前贈与は、所有権そのものが親から子に移転します。言い換えれば「財産を管理、運用、処分する権利」と「財産権(財産から利益を受ける権利)」との両方が子へ移転することになります。

生前贈与された財産は、完全に子の所有物となるため自分のためにも使用できます。

(家族信託では、信託された財産はあくまで”親の利益のため”に管理する必要がある)

ですので、生前に財産を移すことで、相続財産を圧縮する節税対策を目的とする場合や、贈与を受ける人がすぐに自分のために財産を使いたい場合には生前贈与が有効です。

注意しなければならないのは、贈与税や不動産取得税などが多額になるケースや、例えば相続人が複数いる場合に、生前の贈与が不公平感を生み、相続争いに発展してしまうケースなどです。

 家族信託がいい場合

親が認知症になったとしても、影響を受けずに預金を下ろせるようにしたい、または実家や収益不動産を売れるようにしておきたい場合には、家族信託が有効です。

贈与税や不動産取得税などの税金の負担がないことも魅力です。

特に財産に不動産がある場合、不動産は高額の資産であることが多いため、子どもに生前贈与すると多額の贈与税がかかってしまうことがほとんどです。そのため相続税の節税のみを目的とするケースでない限り、家族信託を選択される方が有効と言えます。

注意が必要なのは、贈与と異なり「長期の運用に耐えることができる家族信託の仕組み」をしっかりと組む必要があるため、現状では専門家への相談が必須になるということです。

 その他の相続対策

 生命保険の非課税枠

相続税のかかる契約形態の死亡保険金の場合は、「500万円×法定相続人の数」までは非課税で現金を受けることができます。

つまり、例えば、妻と子2人が相続人の場合には、1,500万円までは税金がかかりません。

また、死亡保険金は相続財産には含まないので、受取人は遺産分割などを必要としないで、財産の移転を受けることが出来ます。

 ジュニアNISA

1年間に80万円までの資金を5年間非課税で運用することができますので、生前贈与と組み合わせれば、税務的有利に資産を有用しながら例えば子や孫の大学進学資金を準備したいといったニーズに応えることができます。

 まとめ

生前贈与にも家族信託にも、長所・短所があります。

ここまでお読みいただいた方はお気づきかもしれませんが、どれか一つの制度を利用するのではなく、様々な制度を複合的に利用することは有効です。

例えば、預貯金の一部を子と孫に生前贈与、預貯金の一部を生命保険、収益不動産は家族信託して、自宅は売却のつまりがないので遺言でケアして…というようにです。

それを考えるためには、今のまま何もしなかった場合の法律的なリスクや経済的な負担を正しく予測して、あらゆる制度の複合的な運用を考えることが重要です。

例えば、相続税対策を考える場合ひとつとっても、二次相続まで見据えた場合にどうか?そもそも税金だけケアすれば良いのか?を検討する必要があります。

また、現状で共有関係になっている不動産を放置することでどうなるか?遺言が作成されていないことで将来的にどんなことが起こり得るかなど、現状の問題点にも目を向けなければなりません。

それらの絡み合う事実に対してリスクを予測し、様々な制度を駆使して、複合的な対策を考えることがリーガル・コンサルティング&パートナーの専門家としての使命です。

そしてそれを「わかりやすく伝えること」も「親身になって寄り添うこと」もリーガル・コンサルティング&パートナーの理念ですので、ぜひ一度無料相談にて体験してください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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