2020.04.01

〈知らないでは済まされない!成年後見と家族信託の違いとは〉


親が認知症になったら成年後見があるから、そっちでいいのでは?

成年後見と家族信託となにがちがうの?

今回は、そんな良くある疑問にお答えします

大事なのは、つぎの2点です。

POINT!

・成年後見は「ご本人のためだけ」の制度で、自由度が低い。


・家族信託は「ご本人と家族のためにも設計できる」制度で、自由度が高い。

▽家族信託の基本的な仕組みについては、動画で解説しています!

それでは、詳しく見ていきましょう♪


 成年後見制度とは

親が、物忘れが多くなったなと感じてから、

少し連絡をとっていない間に認知症のような症状が…なんてケースは良くあります。

認知症などにより、ご本人の意思が示せなくなってしまった状態を

法律業界では「意思能力がなくなった」ということがあります。

意思能力のなくなった方の資産は凍結されてしまい、次のようなことができなくなってしまいます。

・銀行口座からの預金の引き出し
・不動産に関する賃貸契約や売買契約、大修繕のための請負契約など

そこで、財産管理を「後見人」に代理でやってもらおう、というのが成年後見制度です。

 成年後見のデメリット

ただし、この制度は使い勝手が悪く人気がありません。

手続きも煩雑で、財産の使い道が大きく制限されるなど、デメリットが多いからです。

例えば、成年後見は「本人のため」の制度なので、愛する息子さんがマイホームを買う際の、住宅取得資金に関する贈与は行うことが出来ませんし、希望に満ちたお孫さんの将来の教育のための教育資金贈与も行うことが出来ません。

なぜなら、それは本人の財産を一方的に減らす行為であり、「本人のため」にならないからです

このように、ご本人の心情を無視し、経済理性だけでズバッと切られてしまうのが成年後見です(場面によってはそれが良いことも当然あります)。

すなわち成年後見の問題点とは、ご本人の財産が不当に使われないように、基本的にご本人(財産の所有者)のため「だけ」に使われることです。この制限が厄介なのです。

また、いざ認知症になってしまえば、まず介護が必要になります。

介護施設費や生活費が必要になるのはもちろん、ご家族が介護されるのであればご家族にも経済的な影響が出るでしょう。

そうなると、例えば、自宅を売却したい場面が出てきます。

成年後見制度では、裁判所から許可をもらわなければ自宅は売却できませんし、自宅以外も、合理的根拠が無ければ処分はできません。

このように、裁判所が介在することによるストレスも見逃せないデメリットです。

 家族信託なら大丈夫

これに対して家族信託では、ご本人がそれを望み、契約書に正しく反映していればご本人以外のご家族の為にも財産を使うことができます。

自分の財産は自分の意志で使い道を決めたいな

家族に迷惑はかけたくないわ

こういった想いをお持ちでしたら、

今、元気なうちに家族信託を結んでおくことをおすすめします。

認知症になってしまった後では、家族信託は使えません。

後見制度しか使うことができなくなってしまいます。

 法定後見と任意後見

成年後見制度には次の2つがあります。

 法定後見
・任意後見

法定後見は、裁判所が選任した人が後見人になる制度で。任意後見はご本人が元気なうちに「あなたに任せた」と後見人を決めておける制度です。

後見人を決めないまま認知症になってしまうと、任意後見も使えなくなってしまい、法定後見しか選択肢がなくなりますので、早めに対策をとっておくことをおすすめします。

 成年後見人ができること

さて、もし成年後見制度を使った場合に、後見人ができることとは何でしょうか。

成年後見人のできることは次の3つです。

 財産管理
・法律行為
・身上監護

財産管理とは、ご本人(被後見人)の日常生活に必要な財産の管理です。預貯金に、土地や建物、有価証券などの管理もします。

法律行為とは、不動産や有価証券の「売却」に代表されるような契約行為です。

財産を管理する上で必要になる場面があれば、後見人はご本人に代わって行うことができます。

また、後見人はご本人の銀行口座からお金を出し入れすることもできます。

その際は、銀行に届け出をすることが必要となります。

自宅を売却する、といった手続きの場合は、家庭裁判所に申請をして許可を得ないとできません。

ご本人を保護する制度なので仕方ありませんが、その都度届け出や申請をしなければならず、また金融機関によっては取り扱いがそれぞれ異なるなど、煩雑で使い勝手が良くないというわけです。

最後に、身上監護とは、ご本人の代わりに介護施設の入居手続きをするなど、ご本人の生活や健康に配慮し、安心した生活がおくれるようにすることです。

なお、直接の介護や看護は含まれていません。

 成年後見人ができないこと

成年後見制度はあくまでも、意思能力のなくなってしまった人の生活を守るためのものです。

つまり「本人の利益の為」にするのであって、次のようなことはできません。

・ご本人の預貯金からお孫さんの学費を払う。
・ご本人の預貯金から子どもに住宅資金を貸し付ける。
・金融商品を買って運用をする。
・子どもの借金のため、ご本人所有の不動産に抵当権を設定する。

これらはご本人以外の人のために財産を使う行為なので、基本的には後見人にはできないのです。

 家族信託なら大丈夫

一方、元気なうちに家族信託をしておくと、上記のような「家族のため」の使い方もできます。

もし家族信託中にご本人が認知症になってしまっても、突然財産の使い道が制限されることはなく、引き続き信頼するご家族がご本人と家族のために管理・運用・処分してくれます。

 まとめ

いかがだったでしょうか。

成年後見制度は「ご本人のため」、家族信託は「ご本人とご家族の為」であることが見てとれたと思います。

とはいえ、先日の記事でもお伝えした通り、どちらかを選ばなければならないわけではありません。

関連記事成年後見と家族信託、どっちが便利?

資産の状況やご本人とご家族の話し合いの結果によって、求められる財産管理のあり方が変わってきます。

まずはお気軽に、法律の専門家に相談をしてみてはいかがでしょうか。


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