2020.04.03

成年後見人になる前に知っておくべき7つのこと


親が認知症になり、銀行のキャッシュカードの暗証番号を忘れてしまった!

こうした事態は誰の身にもおこり得ます。

銀行の窓口の人に「親族であるあなたが後見人になってから手続をしてください」といわれたのですが・・・

こんな場面に遭遇したら、いえ、こうなる前に知っておくべきことがあります。

ポイントをまとめると、次の3点です。

POINT!

・第三者が後見人になるのが全体の7割程度。


・本人が元気な間の意思や家族との話し合いは無視される。


・後見人の仕事は大変で、途中でやめられない。

では、詳しく見ていきましょう。

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成年後見人に家族がなれるとも限らない

まず、子どもが「私が親の成年後見人になります」と申し立てたとしても、なれるとは限りません。

その可否は家庭裁判所の判断に委ねられます。もし不適任とされれば、専門職後見人(弁護士や司法書士など)が選ばれます。

普通、後見人は子どもがなるのでは?

と思われているかもしれません。2006年頃まではそうでした(※1)。

しかし現在は相次ぐ後見人による横領を防止するため、専門職後見人が選ばれるほうが一般的です。

その割合は近年増大しており、専門職後見人が選ばれる割合は全体の7割です。一方、子どもがなる割合は14%程です

また、子どもが後見人になれたとしても、成年後見人を監督する成年後見監督人(弁護士や司法書士など)が付くことがほとんどです。

※1(出典:成年後見関係事件の概況
※2(出典:成年後見関係事件の概況 ~平成18年4月から平成19年3月~

第三者が介入してくる

では、専門職後見人や成年後見監督人が付くと、どうなるのでしょうか。まず、報酬が発生します。

その額なんと年間で24万円です。

しかも、管理財産が1000万を超える場合は倍の48万円5000万円を超える場合は3倍の72万円です(※3)。

これを基本的には、ご本人が亡くなるまで支払い続けます。

また専門職後見人が選任されると、親の財産はすべて専門職後見人の手に委ねられ、1か月に必要な費用だけが与えられる形になります。

それ以外の費用は、いちいち「〇〇のためにお金が必要です」とお伺いを立てて、支払いを認めてもらわなければならなくなります。

では、専門職後見人や成年後見監督人と相性がわるかったらどうしますか?

結論から言えば、我慢するしかないのです。

「この制度はキャンセルします」「成年後見監督人が就くのを拒否します」などの主張は、認められません。

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※3(出典:「成年後見人等の報酬額のめやす」)

専門職が後見人に就いても安心ではない

後見人を専門家に任せておけば、必ずしも安心できるとは言えません。

調査によれば「弁護士や司法書士といった専門職の後見人が横領などを行った件数」は2015年は37件と過去最悪でした。

任せっきりにしておくというのも考えモノです。

事務作業に追われる

仮に、家族が後見人になれたとしても、後悔することになるかもしれません。

後見人は、年に1回家庭裁判所に「後見事務に関する報告書」を提出しなくてはいけません。

親の財産から支払ったものは、なんでも1円単位で記録しておき、領収書などはすべて保管しなくてはいけません。

日中お仕事をしながら、お子さんの世話をしながら、家事をこなしながらの後見事務は、かなり負担の大きい作業となるでしょう。

本人の意思が尊重されない

成年後見制度の掲げる基本理念は

「自己決定権の尊重」
「残存能力の活用」
「ノーマライゼーション」

の3つです。

つまり、本人の意思・能力をできる限り活用し、その意思・能力を尊重していこうというものです。

しかし、家庭裁判所は、「本人の意思に基づくこと」であっても「本人の意思とは立証できない」のであれば、認めてくれません。

例えば、ご家族の遺産相続について「自分はいらない」と元気なうちに言っていても、元気なうちに遺言や家族信託、生前贈与等を活用して生前対策をしておかなければ、法定相続分に従わざるを得ません。

なぜなら、肝心の本人は認知症等で、もはや意思表示が出来ないか、出来てもそれが本当に心から思っての事なのかは、第三者である弁護士や司法書士、裁判所には解らないからです。

例えば、本人に後見人がついた後に、特定の相続人が、「私に全部の財産をくれると言っていた!」と後見人である弁護士に主張したとして、その主張は通るでしょうか?

残念ながら、かなり厳しいと言わざるを得ません。

子どもでも親の財産を自由にはできない

後見人になったからと言って、親の財産を、子どもならある程度は自由に管理できるのかというと、そうではありません。

後見人は被後見人の財産を不当に減らすことはできません。子どもであっても、親の財産を勝手には使えません。

例えば、親が元気なうちに家族で話し合っていた相続税対策も一切できません。

年間110万円まで贈与税が発生しない「暦年贈与」などは、裁判所からストップがかかるでしょうし、教育資金贈与や住宅取得資金贈与も、たとえ本人が心から望んでいたのだとしても、成年後見人がついてしまった後では実行することが難しいと考えたほうが無難でしょう。

一度、後見人になると簡単にはやめられない

さて、実は成年後見制度、一度後見人となると本人の判断能力が回復しない限りは続ける義務があります。

つまり本人が亡くなるまで続くのです(認知症等の状況が快復すれば終了することになりますが、現実的ではないでしょう。)。

続けていく自信がないなあ

やっぱり他の人に代わって欲しいわ

と言っても、簡単にはやめられないのです(ただし、正当な理由があり、家庭裁判所の許可を得ればやめることができます。)。

まとめ

いかがだったでしょうか。

この記事を読む前とでは、後見制度のイメージが大分変ったと思います。

とはいえ、まだ元気だから大丈夫、親と認知症になったあとのことや、財産のことなど話すのは気がひける、といった感想を持たれるかもしれませんが、いざ認知症になってしまうとできる事が本当に限られてしまいます。

親が高齢になってきたな、と感じたら、元気なうちであればとれる対策がたくさんありますし、様々なリスクを想定して、各制度を組み合わせて行く必要があります。

専門家にご相談のうえ、ご家族で良く話し合われてみてはいかがでしょうか。

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