家族信託を契約して、不動産を信託財産にしたときに、新たな税金がかかったりしないか不安になりますよね。
高い税金が後で請求されるんじゃないか?
所有権が人から人へ移ると税金がかかります。家族信託をすると「所有権が受託者へ形式的に移る」と他の記事でも表現していますが、その場合の税金はどうなるのでしょうか。
本記事でその仕組みをご紹介していきます。
ポイントは3つあります。
・贈与税、不動産取得税はかからない。
・受益権は実質的には所有権と同じ。
・受益者が確定申告をする。
家族信託を検討している家族にご説明するような構成になっています。是非最後まで読んでみてください♪
信託財産って結局、受託者のもの?受益者のもの?
ここは少し紛らわしいポイントですね。
信託財産となった財産は、形式的には受託者の名義になります。
もともとは「所有権」という、不動産を使用・収益・処分できる権利のうち、信託契約後は「使用・処分」を契約の内容に従って受託者が行い、「収益」の権利だけを受益者がもつというイメージです。
\税金についてのYouTube動画もあります!/
贈与税とか不動産取得税は受託者に課税されないの?俺に税金が来るのが怖いんだけど…
家族信託では多くの場合、従来の所有者である親が「委託者と受益者を兼ねる」形をとります。この状態は「自益信託」(委託者=受益者)と呼ばれています。
こうすることで、所有者である親は引き続き信託財産の実質的な持ち主のままと税務上は解釈します(「パススルー課税」と言います。)。
そうすると、他人に財産(的な権利)が移る訳ではない(信託前と信託後で所有者が変わっていない。)ので、贈与税や不動産取得税といった、新たな税金が発生することは絶対にありません。
父の財産はずっと父の財産のままなんだな
そうです。なので、信託財産から収入があればお父様がこれまでと同様に所得税の確定申告をします。
なお、信託期間中に受益権を他者へ移すこともできるのですが、無償で受益権を移転してしまった場合は「みなし贈与」とされ贈与税が課されます。
確定申告は息子に任せようとしてたが、やり方だけゆっくり教えていこう
下記①②の両方に該当する場合には、受託者が調書を税務署に提出する必要があります。信託後に税務署で手続するのを忘れないようにしましょう。
それで、固定資産税の支払いは全部受益者(自分)がすることになるのか」
不動産を信託した場合、翌年の固定資産税の請求は登記簿上で形式的に所有者となっている受託者に届きます。
ただし、受託者は受益者のために財産の管理を行っているだけですので、固定資産税・都市計画税などの信託財産に関する負担は、当然信託財産から支払を行います。
信託した不動産が賃貸マンションの場合は受益者が確定申告を行いますが、その際に固定資産税は受益者の経費として差し引かれるという流れになります。
賃料収入のあるマンションがあるんだけど、、
マンションなど収益不動産を信託不動産にする場合、受託者は、前年の信託財産からの収益を、「信託の計算書」「信託の計算書合計表」を税務署に提出する必要があります(年間の収益が3万円以上の場合)。
受益者は、確定申告書に下記の書類を添付してください。
通常の不動産所得に関する書類(収支内訳表など)
信託から生じる不動産所得に係る明細書(信託不動産に関する賃貸料や減価償却費、借入金を記載)
なお、上記はご自身で行うことも不可能ではありませんが、家族信託した初年度は税理士の先生にお願いし、教えていただき、次年度からご自身でトライする方が多いように感じています。
いずれにしても、家族信託を実行すると、今まで通り受益者の確定申告の前に、「受託者による書面提出」が発生しますのでここだけご注意ください。
父が亡くなった後はどうなるんでしょうか
お父様の死亡により信託財産(正確には信託財産から利益を得る「受益権」という権利)が家族、例えば息子さんに移れば、「みなし相続」となり相続税の対象になります。
関連記事:知らないと損をする!家族信託で贈与税を回避する方法
受益権の移転に関する税金のお話は、こちらの記事でも解説しています
それじゃあ、受益権というのはほとんど所有権とほぼ同じじゃないか
所有権と同じ扱いなら、信託をして相続税対策になっていたのか?
家族信託を導入するだけで税金が減るわけではありません。
一般的には、ご高齢の親が認知症の症状が出てきてしまっても影響されず、子が相続税対策(ローンを組んでマンションを建てるなど)をじっくり実行できることに意義があります、
信託終了後は、税務署への手続きはどうするの?
信託が終了した場合で下記①~③に当てはまるのであれば提出する書類が出てきます。
つまり、信託が終了しても新たに権利が移転しない場合や、残余財産額が少額なら、何も提出する必要がないのか
もし提出義務が発生するようなら、信託財産の種類・所在場所・価額を記載した調書などを税務署に提出しましょう。 かなり先の話ですので、その時はまたご相談ください。
信託契約をすると、不動産の名義が形式的に受託者に移りますが、
実質的には委託者となった人が「受益権」として所有するような形になります。
税金関係も、受益権が移ればみなし贈与になりますし、受益者の死亡で他者に移ればみなし相続となるなど、思ってもみなかったタイミングで課税されることはありません。
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