2020.04.11

日本一やさしい家族信託の説明書~手続きの流れ~


TVや雑誌でも取り上げられ、広く知られるようになった家族信託ですが、誰かに相談しても「知らない」と言われてしまい、困ってしまうケースがあるようです。


調べてみても難しい法律用語ばかりで、疲れてしまいますよね。



そこで本記事では、専門用語をほぼ使わず、大事な所だけをコンパクトにまとめました。

この記事を読むメリットは以下の通りです。



本記事を読むメリット

 家族信託の仕組みがわかり、家族に説明できるようになる。

 

 自分が利用すべきかわかる(チェックシート有り)。


 大体の費用がわかる(具体例・シミュレーター有り)。


 具体的な手続きの流れがわかる。



後見制度との比較

まず、家族信託とはそもそもなんでしょうか。


敢えて一言で言うなら「遺言と後見のいいところどり制度」です。

遺言書と後見制度との違いについて詳しくは、別の記事で説明していますので参考にしてください。


関連記事:どうして遺言書だけじゃダメなの?家族信託と何が違うのか



家族信託の一番のメリットは、認知症などで判断能力が低下した時の財産凍結リスクの回避にあります。



凍結とは、預金も引き出せず、定期預金を解約できず、自宅も売却できないような状態です。

これでは、家族が困ってしまいます。

介護・施設入所などが必要になったとき、資金が準備できないかもしれないからです。



財産があるから大丈夫

きっと銀行がなんとかしてくれるわ



いえ、実はそうでもないのです。

ではどうすればいいのでしょうか?



従来、この問題には後見制度が活用されてきました。



ところが使い勝手が悪く、人気もありません。詳しくは、下の記事が参考になります。


関連記事:知らないでは済まされない!成年後見と家族信託の違いとは



後見制度のデメリットは家族信託で回避可能

まとめると、後見制度のデメリットは以下のとおりです。



後見制度のデメリット


 第三者が介入する。

 費用が高い。

 財産の使い道が限定される。



認知症になってしまう前に、「家族信託」をしておけば、後見制度のデメリットを回避しつつ、財産凍結リスクを回避できます。



信託契約中は、財産は受託者が管理・運用・処分できます。

どの財産をどのように扱って良いのか、契約(家族間の約束)で決められます。



家族信託の主な要素

では、実際に家族信託をするとなったら決めることは何でしょうか。


以下の4つだけを押さえてください。ここは大事なポイントです。


家族信託の主な要素


 財産を預ける人(委託者)

 財産から得られた利益を得られる人(受益者)

 財産を管理運用する人(受託者)

 預ける財産(信託財産)





例えば、親の持っている不動産を子どもに託すとします。

この時、親が委託者、不動産が信託財産、子どもが受託者です。
受託者は受益者のために不動産を管理・運用・処分します。通常、委託者が受益者になります。


関連記事:受託者になるなら必ず知っておきたい基礎知識【ゼロからわかる】



ですが、子どもが「何のために」不動産を使うのか、親としては少し心配ですよね。

もしかすると知り合いの不動産屋に売却してしまうかもしれません。



そこで、「〇〇のために使ってね」と約束をします。これが信託契約です。

この「〇〇のために」という箇所は「信託の目的」と呼ばれます。この「信託の目的」の範囲内であればどのように使ってもいいことになります。



「信託の目的」は自由に決められます。例えば以下のようなものです。

※「契約自由の原則」という民法の原則に従って、信託契約の内容は基本的に自由に決められます。



信託の目的の例


 「かわいい孫の将来の教育資金」

 「障害のあるわが子の生活費」

 「施設入所や老後に必要な資金」

 「自分亡きあとのペットの飼育費」


ここもかなり重要なポイントです。


では次に、登場人物の特徴を抑えましょう。

・委託者(大抵は親世代)


信託契約の主役は委託者です。信託財産はどこまでか、契約の内容はどうするのか、受託者の報酬は・・・と、多岐にわたる契約内容の最終決定権は委託者にあると言っていいでしょう。委託者が、「私の財産を信託する」と決断しなければ何も始まりません。

・受益者

信託財産から発生した利益を享受する人です。信託契約は受益者のためにあるので、こちらも主役です。とはいえ、基本的に委託者と受益者は同じ人がなります(贈与税課税を回避するためです)。受益者は、受託者に対して、いつでも利益を受け取ると主張できます。

委託者と受益者の両方になるのか

・受託者(大抵は子世代)

財産を預かる人が受託者です。注意が必要な点は、未成年者や被後見人などの意思能力が減退した人はなることができないという点です。それ以外には特に資格などは不要です。甥や姪や、ご友人でもなって頂けます。

とはいえ、しっかりと財産を管理してくれる人になってもらいましょう。本当に心から信頼できる人にしか頼んではいけません。

お気付きでしょうか。信託契約にはこの2名しか出てきません。とてもシンプルですね。(受託者の事情によっては、第三者を介入させることも可能です)

家族信託のデメリット

家族信託はとても便利なのは間違いありませんが、いい所ばかりではありません。家族信託のデメリットについてはこちらで詳しく解説しています。

その中でも以下の2点が大きなデメリットです。



家族信託のデメリット

 受託者の裁量が大きい。

 相談できる専門家が少ない。



家族信託の大きなメリットとして、「第三者に介入されず、受託者が自由な財産管理・運用ができる」という点が挙げられます。

しかしその反面、きちんと財産が運用されているのかどうか監督しずらいというわけです。特に、委託者兼受益者(最初に財産を持っていた人)の能力が減退したときは、実質監督する人は居ません。

家族信託の注意点

また、いくら受益者のためにする信託行為といっても、ご家族が家族信託を全く知らないのではトラブルの原因になります。

なので、以下の3点に注意しましょう。



注意点


 委託者と受託者との充分な信頼関係を構築する。

 委託者(受益者)の想いを反映した信託契約の設計をする。

 出来る限りご家族全員の理解・同意を得る。

家族で話し合って決めたいわね



費用の計算

次に、家族信託の費用についてです。


家族信託を利用する際に必要な費用は、管理する財産の価額によって変わります。なので、以下の3つがあれば計算ができます。



計算に必要なもの


 信託する金銭の額

 信託する土地の固定資産額。

 信託する建物の固定資産額。



「固定資産評価証明書」を見ながら計算すると、より正確に費用が割り出せます。

下のシミュレーターで計算できますので、ご利用ください。



 料金シミュレーターはこちら

いかがでしたでしょうか。

後見人を付けた場合最低でも年額24万円の報酬を支払う必要がありますが、家族信託ではそうした月額費用はかからないので、安心して利用できますね。

どんな人が利用するべきか?

便利なのはわかったけど、本当に自分が使うべきなのかな


そんなお声も良く聞きます。
では、どんな人が利用するべきでしょうか?

以下でチェックしてみましょう。

該当する項目に✔を入れてみてください。



家族信託チェックシート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



もし、上記の項目が3つ以上当てはまるのであれば、なるべく早い段階で家族信託の検討をおすすめします。

もし、突然認知症になってしまった・万が一の事態が起こってしまった「後」では、法定後見や法定相続と、ご本人の意思がその後反映されない形になってしまいます。



家族信託の流れ

家族信託の手続きって大変なのかな



実際に「どんな手続きをするのか」イメージが沸かなければ検討できませんよね。

そこで、実際に家族信託の契約をする場合の手続きの流れを、以下に6ステップでまとめました。

ステップ1:信託の目的を決める。

まずは、信託契約の目的を定めましょう。

何のために家族信託をするのか、ご本人の想いが最も重要になってきます。一例を下にまとめましたので、参考にしてください。


信託契約の目的の例


 もしも認知症になってしまった時のために、財産を家族に託しておきたい。

 子どもたちへの財産の承継を、トラブルの無いようにしたい。

 共有不動産があるので、共有者間でのトラブルを防ぎたい。

 認知症の配偶者がいるので、後見制度を使わずに生活を守りたい。

 子どものいない息子夫婦に財産をわたしたいが、子どもがいる息子夫婦もいるためゆくゆくはそちらの孫に財産がいくようにしたい。

 障がいのある子どもの将来の生活を守りたい。


財産のことって、問題が起きてからじゃ遅いのよね

ステップ2:家族信託の内容を決める。

信託の目的が定まったら、次は信託の内容を決めていきしましょう。

必要なのは以下のとおりです。



信託内容に必要なもの


 信託目的(ステップ1

 委託者

 受託者(第二受託者)

 受益者(第二受益者)

 信託財産(不動産、預貯金など)

 信託の期間(例:第二受託者の死亡した時まで)

 信託終了後に信託財産を取得する人(遺言書のような機能)



※第二受託者、第二受益者についてはこちらの記事を参考にしてください。

ステップ3:信託契約書をつくる。

さあ、いよいよ「信託契約書」をつくりましょう。

ステップ1の「目的」が実現されるかどうかは、この契約書の条文に何を書くかで決まります。

契約書は、自分で作れるのかな



確かに、ご自身で調べて作成できなくもないとは思いますが、作成したのち長い期間効力のある書類になりますので、専門家の助言は必須となるでしょう。

信託法という法律の全体を理解している専門家がいいですね。

ステップ4:公正証書にする。

公正証書って、遺言書の話で聞いたことはあるわ



公正証書?と思われるかもしれませんが、これはとても重要です。


公証役場にいる公証人(元裁判官などが務める)に公正証書を作成してもらいます。

なぜこんな事をするのかというと、ステップ3でつくった契約書が私文書であった場合には、万が一信託契約後に信託契約自体の効力が争いになったときの「確かな証拠」にはならないのです。

例えば、「その契約書は偽造だ」と言い出されてしまったら証明が難しくなります。


なので、公証人に立ち会ってもらい、意思確認をした上、原本を保管してもらいます。


費用はかかりますが、以下のメリットがあります。



公正証書にするメリット


 公証人が契約書の内容を確認(目の前で読み上げてくれます)するため間違いを防げる。

 本人の意思確認を公証人がするので、後日争いになっても証明できる。

 契約書を紛失してしまっても再発行できる。

ステップ5:信託財産の名義変更をする。

続いて、信託財産に不動産があれば、名義変更をしましょう。



不動産の所在地を管轄している法務局に登記申請が必要です。どのような内容を登記するのかの取捨選択が必要ですので、注意が必要です。

この名義変更は司法書士に依頼しましょう。


※ここで司法書士が必ず登場するので、ステップ2の段階で司法書士に相談しておくとワンストップで手続きが進行します。

ステップ6:信託口口座を開設する。

信託財産に預貯金や現金があれば、すみやかに信託専用口座へ移しましょう。

私の口座をそのまま使っちゃだめなのか




というのも、受託者は「信託財産と自分の財産を分けて管理する義務」があるのです。

なので、信託された預貯金などは受託者の口座にいれておけません。信託専用の口座で管理しなければいけません。



委託者の口座にある残高も、この専用口座へ送金しましょう。

補足

ステップ1の「想い」を実現するのに、本当に家族信託が適しているのか、遺言や任意後見といった制度と必ず比較検討してください。

家族信託は、あくまでもご希望をかなえるための一つの手段でしかありません。想いをかなえるために必要だから、家族信託をするのです。



比較するというのが、結構大変なんだよな

そうですよね。なのでステップ1の段階で、実務経験・知識の豊富な、家族信託の専門家に相談してみるといいでしょう。





まとめ

いかがでしたでしょうか。
家族信託の全体像から、具体的な手続きの流れまで、全てご覧いただきました。

ここまでお読みになって、何か些細なことでも疑問点や、現在のお悩みなどは、家族信託の専門家に相談してみてください。

司法書士リーガル・パートナー(事務所:新宿区四谷3-13-4)は、実務経験も知識も豊富な、日本でも随一の家族信託の専門家集団です。その上最初のご相談が無料なので、気軽に、安心してお問い合わせいただけますので、以下のお問い合わせフォーム、またはお電話でいつでもお問い合わせください。




サイト内検索

人気の事例

  • 財産管理を目的とした家族信託
    財産管理を目的とした家族信託
  • 死後事務を託したいので家族信託を使った事例
    死後事務を託したいので家族信託を使った事例
  • 兄弟で経営している自社の事業承継に家族信託を活用
    兄弟で経営している自社の事業承継に家族信託を活用

人気のコラム

  • 家族信託のプロが不動産投資家に家族会議をおすすめする理由
    家族信託のプロが不動産投資家に家族会議をおすすめする理由
  • 家族信託のこと、初めて相談するならどこがいいのか?
    家族信託のこと、初めて相談するならどこがいいのか?
  • どこが悪かった?口約束と遺言書の制度が生んだ失敗事例
    どこが悪かった?口約束と遺言書の制度が生んだ失敗事例